アメリカ報告 第5弾 NPO「E R A」紹介 コロナ後にはNPOのさらなる活躍を!

   

アメリカはNPO先進国、NPOでの女性の活躍を

アメリカは、NPO先進国。建国以来NPOは病院、学校など身近な存在として広く地域に浸透しており、個人や地域に不可欠な存在です。現在130万団体ほどあり、そのうちいくつかのNPOは大企業並の財力・運営力・人材力をかね備え、国内外に大きな影響力を持っています。アメリカのNPOが社会的に認知され地位を確立しているのは、法的制度や税制が十分に整備されているほかに、雇用に占める割合は10%近く、1200万人に達しているのです。賃金なども他の企業とさほど差はなく、若者の働く場としても希望者が多く、特に女性のリーダーシップは活かされています。またアメリカのNPOは政府とパートナーシップを組み新しい政策を実現させていく力(アドボカシー能力)が優れています。

NPOにはアドドボカシー活動が必要だとかねがね知っていたのですが、現役時代NPOの活動家だった筆者には、やはりサービスの提供は重視するものに、アドボカシーにはなかなか手が及ばなかったというのが実情でした。ところがこの度訪問したNPOは、提供するサービス(裁判支援)とアドボカシー(法律改正)がぴったりと連携しており、名称にも「Advocates」が入っているNPOです。

念のため「NPO」とは「一般に自発的・自立的かつ正規に運営されている非営利、非政府の組織」を指しますが、認可は州の権限です。NPO活動が盛んなカリフォルニア州の例では、州の法人担当課に「団体名・連絡先・活動目的を記入して30ドルの手数料を支払うだけ」と簡単です。次に認可基準にいくつかの段階を設けて組織の分類を図り法人税の優遇、寄付者への課税所得控除、郵便物のNPO特別割引など様々な特典を付けていくのがアメリカのNPOの特徴です。

NPO ERA(Equal Right Advocate)紹介

日時    2020年1月22日(水)13:40~16:00
訪問先      NPO Equal Right Advocate―fighting for Women’s Equality
住 所     1170 Market Street, Suite 700 SanFrancisco,CA 94102
Website  www.equalrights.org  TEL: (415) 621-0505
担当者      Deputy Director(副理事長) Delia Coleman(デリア・コールマン)

Equal Rights Advocates(ERA)は、1974年に設立された非営利の女性の権利団体です。弁護士を中心とした活動団体です。ERAは、女性と女児の経済的および教育的アクセスと機会の保護と拡大を専門とする法律団体で、学校・大学・職場などでの男女平等を求めた憲法修正を要求するアドボカシー活動をしています。UCLAバークレーと連携しています。この組織は、最低賃金の仕事で働く女性、有色人種の女性、移民女性が職場で受けるハラスメントや各種の差別の問題などに取り組んでいます。訴訟の他、教育活動やアドボカシ-にも従事している法律専門家集団です。現在弁護士が7人所属している。年間予算は3億円です。
法改正につながりやすい事例を裁判支援するようにしているのだそうです。集団訴訟は最近減る傾向にあるということです。それは保守化傾向で裁判官がやりたがらないということでした。

これまでの裁判と法改正をつなげていく活動の事例

●2012年5月、ERAは、ボジョルケス対ABM清掃サービスの女性用務員(スペイン語を話す)の裁判を引き受けました。サンフランシスコの陪審は、性的嫌がらせと報復に直面したERAのクライアントであるマリア・ボジョルケスに812,000ドルの賠償金を命じました。
●2012年2月には、ERAは2001年にUCデイビス(女性レスラー)の訴訟で、ERAが提出したタイトルIX(憲法第9編)事件で、UCデイビスは130万ドルの和解金を確保しました。
●2012年5月、ERAはpregnancy accommodation law(妊娠適応法)に関する画期的な報告を発表しました。レイオフではなく(妊娠したら解雇ではなく)、子どもを待ちながら働き続けるのです。ERAはかねてより連邦法を修正し、妊娠中の労働者が働き方の調節をできるようにすべきだと考えていました。ERAは妊娠中の労働者のための公正な法律の支持者です。
●2011年6月にはEqual Rights Advocatesは、共同顧問(インパクトファンド、コーエンミルスタインセラーズ、PLLC、およびその他企業)関係を持っている事件で、ベティ デュークスと全郡のウォルマートデパートの女性原告団が起こした歴史的な集団訴訟を担当しました。この事件はウォルマートデパート側の賃金の平等を否定し、女性の職場での昇進の機会を否定する方針と慣行に異議を唱えた性差別禁止の集団訴訟でした。この訴訟に対しての最高裁判所の判決は、永続的な遺産となりました。

全国無料法律相談およびカウンセリングホットライン

ERAは1980年代初頭から、アドバイスとカウンセリング、「A&C」プログラムの3つを組み合わせて活動しています。権利に関するパンフレットの作成、対面トレーニングもしています。A&Cホットラインには、ERA弁護士やトレーニングと監督を受ける法律書記官が配置されています。ERAは、毎年1,000人以上の発信者にサービスを提供し、法的支援をしています。即時の救済が必要な事件はすぐ動きます。ホットラインの電話番号は800-839-4ERA(4372)です。

より強力なカリフォルニア行動計画の作成(その内容)

カリフォルニア州には、資産を構築し、安全な職場で成功し、手頃な価格で質の高いケアを子どもたちに提供されている、そんな公共政策があればこそ、ここで生活している何百万という家族が住んでいます。だからこそ、州全体の支援者、立法者、およびその他のコミュニティメンバーも、より強力なカリフォルニア行動計画を支持して団結しているのです。
より強力なカリフォルニア行動計画には、この州の女性と家族のエコノミックセキュリティに不可欠な積極的政策を構成する4つの柱があります。第1は男女平等な賃金、雇用の機会の平等、働きやすい雇用環境です。第2は手ごろな値段で質の高い早期からの保育施設や教育施設です。第3は、賃金が保障される家族休暇などの家族を支える支援です。第4は経済的保障、貧困を招かないように資金を積み上げることです。というのも、女性は力強く活気のあるカリフォルニア経済にとって最重要であり、経済成長を促進する上で極めて重要な役割を果たすという認識があるからです。カリフォルニア州には郡の12パーセントの女性が住んでおり、州の労働人口のほぼ半分を占めています。多く女性は一家の稼ぎ手です。彼女たちは、家族の意思決定者として、また消費者として、労働者として経済に影響を与えています。実際、2007年から2008年の大不況からのカリフォルニアの回復は、女性たちが産業界で大きなその活躍をしたからに間違いないのです。

このより強いカリフォルニア行動計画には、多くの女性とその家族が、経済的に安全な生活を送る上で、具体的な障害に直面しているという事実も盛り込まれています。
カリフォルニアは世界で5番目に大きい経済圏を有していますが、国内で最も高い貧困率の1つであり、女性と子どもは不釣り合いな損害を受けています。
職場でのセクシュアルハラスメントと暴力、そして言葉による報復は、女性を仕事や産業全体から追い出し続けています。カリフォルニア州の育児アクセスは、他の州よりも低くなっています。
女性は、ほぼすべての職種で同じ仕事をする男性よりも低賃金です。彼らはまた、低賃金の仕事で働く可能性が高く、彼女たちはキャリアで昇進する機会が少ないのです。カリフォルニア州の家族は、家族を気遣うと同時に女性と男性が生計を立てることができる、家族にやさしい労働政策が未だに不足しているので苦しんでいます。劇的に変化した連邦の状況では、女性や家族が直面する無数の障害に対処する政策が今まで以上に重要になっています。
このアジェンダは、女性だけのものではありません。これは、すべてのカリフォルニア州の人々の経済的安全を改善する政策を促進するものです。歴史的な成果をより知ってもらうためにもStrongerCarifolnia.orgを見てください。

より強いカリフォルニアのサポートネットワークとともに立ちあがってくれてありがとう
EQUAL Right ASDOVOCATE  エグゼクティブディレクター、
より強力なカリフォルニアネットワーク
議長 Noreen Farrell(ノリーン・ファレル)

(今回でアメリカ訪問の紹介をひとまず終わります。次回から、新型コロナウイルス後の社会の変化や女性の働き方に注視して記述していくつもりです)

 

 

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