シングルマザーに福祉ではなく労働権を「シングルマザー専用」の職業紹介事業の記事
2014/10/23
シングルマザーを管理職に!の記事から
朝日新聞によると職業紹介事業の柱に、社会に埋もれている優秀なシングルマザーを掘り起こして企業の正社員にし、いくいくは管理職にしていくという女性社長の会社が共感を得ていると報道されています(2012年2月11日)
全ての女性が結婚しているか否かを問わず、仕事と子育てを両立できる社会にしたいと本当にそう思います。「シングルマザー」世帯が社会の基本単位として生きていけることが、一番平和な社会だと思います。そのためには、福祉対策ではなく、労働問題としてシングルマザーを考えてほしいですね。
全ての女性が結婚しているか否かを問わず、仕事と子育てを両立できる社会にしたいと本当にそう思います。「シングルマザー」世帯が社会の基本単位として生きていけることが、一番平和な社会だと思います。そのためには、福祉対策ではなく、労働問題としてシングルマザーを考えてほしいですね。
記者の視点として
ああもったいない。企業がシングルマザーを採用しない理由は、子どもの病気などで早退する、残業出来ないからだそうですが、残業出来るシングルマザーもいるだろうし、有能な人材が少ないのに、なんというもったいないこと!もったいない!といっています。本当にそう思いませんか。
シングルマザーって、いわゆる「母子家庭」の母親ですが、日本でも母子世帯は増えています。それは従来の男性中心の家族が変化してきた結果です。他の欧州各国は急速に増加していますが、日本や韓国はゆっくり増えています。都市に住む母子世帯が年を追うごとに増加しています。
韓国では2000年前後から離婚率も上昇し、それに応じて母子世帯率が高くなっています。韓国では離婚率の増加と出生率の低下が同時に訪れ、家族政策もその危機感から変化しました。2005年、戸主制度が廃止され、父系血統主義がようやく改訂されました。しかし、一方で2004年「健康家庭基本法」が制定され、そのなかで基本とされる家族とは、婚姻、血縁、入養からなる社会の基本単位であり、国民すべては家庭の重要性を認識し、福祉向上のために努力しなければならない、と規定しました。この法律の中で多様な家族がどの範囲まで認められるのか、課題の多いところです。
日本は、韓国とよく似た状況ですが、全世帯における比率でも、有子世帯数における出現率も韓国よりも低くなっています。母子家庭になった理由のうち、生別は87.8%で、うち90%は離婚で、未婚の出産は6.5%です。
欧州諸国では女性の労働力率は高く、デンマークの場合では20~29歳の女性全体では67.2%、30~39歳では、77.8%が働いています。これは日本や韓国のように,M字型就業形態にはなっていないということです。また公的保育施設が整備されており、特に0~2歳児の保育施設の利用率は他の北欧諸国に比べても高くなっています。
筆者が2009年にデンマークで聞いたときには、子どもが生まれると保育所へは自動的に入れるようになっているということでした。日本の小学校入学と同じなのだと思いました。その上ひとり親は保育所を優先的に利用できます。保育料は保育施設全運営費の30%を子の親が負担するということですので無料ではありませんが、低所得世帯には、収入に応じた減額・無償の措置が取られます。
アメリカのシングルマザーの増加は他に類を見ないといえそうです。 子どものいる世帯の4世帯に1世帯が母子世帯です。母子世帯になった原因としては、主に未婚と離婚によるものです。「結婚した両親と子ども」という伝統的な家族形態は、アメリカにおいてはもう一般的な姿ではなくなっています。母子世帯は低い賃金や父親が養育費を支払わないケースが多いなどで貧困に陥りやすいのです。
アメリカでは伝統的に国家の責任をできるだけ回避しようとする政府の意図があり、貧困を社会の責任とせず、「個人の責任」とする考え方があります。国家はできるだけ家族の生活に介入しないようにするという考え方でもあります。
母子世帯の貧困率や貧困になるわけ
シングルマザーは85%就業していますが、平均年間就労収入は171万円と非常に低く、平均年間収入は2006年では213万円です。この金額は、全世帯平均563.8万円の37.8%(父子世帯は74.8%)、児童のいる世帯平均718万円の29.7%にすぎません。
母子世帯全体(平成18年度「全国母子世帯等調査」では、シングルマザーになった時の年齢は31.8歳、シングルマザーの2006年次の平均年齢は39.4歳、シングルマザーになったときの末子年齢は5.2歳、2006年時の末子年齢は10.5歳になります。
母子世帯の経済状況について、OECDによる貧困率(年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない比率、個人単位)をここでは世帯単位としてみると、母子世帯では、62.7%が貧困世帯になってしまいます。シングルマザーは働いても、働いてもワーキング・プア世帯なのです。
母子家庭の収入の状況
なぜシングルマザーはワーキングプワーなのか。
第1に、シングルマザーの就労収入が低いのは、正規雇用者が少ないからです。正規雇用が少ないというのは、女性全体にいえることです。女性は結婚や出産で一旦退職すると、 子どもの手が少し離れて再就職しようとすると、もはや正規雇用は求めるのは無理という実態があります。家庭との両立が困難であることも重なり、多くは、パートやアルバイト就労となります。それでも 年収200万円以上を得ているのは、 大半が正規雇用のひとなのです。
第2に、シングルマザーの就業に収入が少ないのは、シングルマザーの就業トレーニングの場がないからです。終身雇用では企業は学卒から定年まで、同じ企業で働きながらOJTが行われましたが、企業を離れると職業トレーニングの場がないのです。離婚や離別により生活の基盤が全く変わってしまうシングルマザーにとって次のステップへ進むためには、企業外での、それも自分の居住地に近い地域での就業トレーニングを安価で受講できる制度がほしいものです。シングルマザーをはじめとして再度の就業に臨もうとする人にとって、就業トレーニング、企業への見習い、企業のあっせん、就業カウンセリング、保育施設の整備などを提供するのがコミュニティカレッジです(名称はどうでもいいのですが)。アメリカ。イギリスなどで、マイノリティの就業支援に極めてポピュラーな機関です。これらの職業教育は地域社会の要望に応じて地域が運営するものです。シングルマザーは福祉政策の対象者として生きるだけでなく、自立を目指す女性として生きる労働政策が必要なのです。
第3に、正規雇用ではないシングルマザーの多くはパート雇用に就いていますが、時給が非常に低いということです。わが国では、パートタイマーと正規雇用での均等待遇制度は適用されておらず、時間給の計算の基本となる最低賃金が低すぎるのです。わが国の最低賃金制度は地域での業者間協定にすぎず、最低生活を保障するためのものでも、能力を評価しての基準でもないのです。現在の最低賃金一覧によると、一番高い束京で791円、1日7時間、月20日働いて1ヶ月11万740円、年132万8,880円にしかならないのです。そこに児童扶養手当を加えても、年収は200万円に満たないのです。
ひとり親家族の生活の根底には、わが国の「男は仕事、女は家庭」という根強い性別約約分業が根を張っています。結婚や出産で仕事を辞め、夫名義の家で子どもとの生活が続いていた中で、離婚などで、その生活基盤がすっかり変化してしまった場合に、女性が自立して生きていこうとするには、社会全体での支援が必要です。福祉から自立政策への転換はもちろん重要なのですが、まずは、仕事と住まいと保育所や学童保育などを合わせた支援が必要です。それには縦割りの自治体の福祉施策では難しいのです。
シングルマザーズ・バイ・チョイスについて
アメリカでシングルマザーズ・バイ・チョイスたちのNPO団体ができたのは、1982年のことでした。いまではアメリカやイギリスでは数千人という自ら選んでシングルマザーになり、子どもとの家族を持つ女性が増えているそうです。結婚してから子どもを持つという順序ではなく、まず子どもを持つことを選択して、つまり、父親不在で、自分の卵子との人口受精で子どもを得るのです。仕事が順調に進むと出産年齢が遠ざかるということもあり、自分の卵子を冷凍保存しておくこともあるそうです。結婚はともかく、子どもとの家族がほしいという女性たちが選択するようです。この勇気あるアングルマザーたちは、家族の愛の形とは、親子のかかわりなどに大きな影響を与えています。日本でも不妊治療の目的のためだけということで女性の卵子の保存が主張されています。しかしアメリカなどのようにシングルマザーズ・バイ・チョイスが増えるかどうかは疑問ですね。
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