セクハラ野次は日本の女性の位置づけを物語る
2014/10/23
6月18日、東京都議会の本会議の一般質問で塩村あやか議員(35)が登壇し、その中で晩婚化が進んでいる現状と、結婚、出産、妊娠に対する取り組みについて指摘したところ「お前が結婚しろ」「子どもは産めないのか」などと野次が飛び交い、周囲はその野次に笑い声が起こっていたそうですが、本人は困惑しながらも質問を最後まで続けました。その後、そのうちの一人の鈴木議員から「本当に結婚してもらいたいと思ったので」というわけのわからない言い訳と謝罪があって、都議会はこれで終わりにしたいとようです。しかしまことに嘆かわしし、考えてみれば、日本の女性の置かれている状況は、相変わらずこの程度だというのがよくわかります。この発言はもちろんセクハラ野次ですが、根深い女性差別が居座っていることがよくわかります。
外国からの反応では、「礼儀正しい日本人がどうして?」などというのもあるのですが、英国ガーディアン紙(The Guardian)は、発信元が自民党議員であることと日本が世界男女平等ランキングで遅れていること、都議会127人中女性は27人、国会議員772人のうち女性は78人しかいないことを指摘しています。
米国ではウォールストリートジャーナル、CNN、ブルームバーグなどで報じられていて、特に英語圏のメディアでは「やじ」ではなく「性的虐待」と日本よりもキツイ表現で問題の深刻さを表しています。日本語の「セクハラ」というときの柔らかい雰囲気とは違います。また都議会を働く職場としてとらえ、女性の職場が日本では差別的だと主張しています。アベノミクスもこれでは本物になりえないとも言っています。インドTVやシンガポール(Channel NewsAsia)、Irish Examiner (アイルランドでも報じられています。
Tokyo assemblywoman subjected to sexist abuse from other members | World news | theguardian.com
http://www.theguardian.com/world/2014/jun/20/tokyo-assemblywoman-sexist-abuse?CMP=twt_gu
Interview: Female Tokyo Assembly Member Reflects on Harassment – Japan Real Time – WSJ
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/06/20/interview-female-tokyo-assembly-member-reflects-on-harassment/?KEYWORDS=Shiomura
Japan Officials Call on Tokyo Council to ‘Clean Up’ After Sexist Jeers – NDTV
http://www.ndtv.com/article/world/japan-officials-call-on-tokyo-council-to-clean-up-after-sexist-jeers-544851
Outrage follows sexist outburst at Tokyo meeting – CNN.com
http://edition.cnn.com/2014/06/20/world/asia/japan-assembly-sexist-outburst/index.html?sr=sharebar_twitter
http://www.channelnewsasia.com/news/asiapacific/sexist-shouts-interrupt/1178746.html(リンク切れ)
In Japan, Men Need to Lean In Further – Bloomberg View
http://www.bloombergview.com/articles/2014-06-20/in-japan-men-need-to-lean-in-further
TrinityNYC(@TrinityNYC)さん | Twitter
https://twitter.com/TrinityNYC
Female official heckled for being childless | Irish Examiner
http://www.irishexaminer.com/world/female-official-heckled-for-being-childless-272850.html
私はセクハラ野次を受けながら我慢して発言を続けた塩村議員の檀上での半ば受け入れたような、半分微笑んだような反応が忘れられません。やはり現状ではいきなり「それはセクハラです!。やめてください」なんて言えないわけですね。
アメリカの研修ビデオでは「それはセクシャルハラスメントです。私は嫌なのです!」と片手を広げて相手を制しているシーンがよく出てきます。でも日本では冗談っぽくはぐらかしたように、微笑んでかわすのが大人のセクハラ対策という暗黙の了解があります。だから怒らないと侮っているから平気でこんな無礼なことをするわけです。
日本のわれわれもここは頑張りどころだと思います。性的虐待発言をこのまま放置せず、抗議し続けましょう。そして職場の差別的土壌も改善していきましょう!
都議会への意見は以下から送れます!
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