SAN FRANCISCO – REPORT#3

サンフランシスコ 報告 #3

スタディツアーでサンフランシスコに行きました – 09年9月7日~14日

女性と仕事研究所ではスタディツアーでサンフランシスコに行きました。コミュニティ・カレッジ *1や、NPOの保育園 *2 、ファッション・インスティテュート・オブ・デザイン・アンド・マーチャンダイジング( FIDM ファッションやデザインの分野に特化した専門教育機関) *3 、NPOの資金確保のセミナー *4 、女性のための起業支援 *5 、国内DVと国際的な迫害を受けた女性の支援国際シンポジウム *6 の参加や、Women’s Buildingでのアメリカと日本の女性とのミーテイングなどがありました。その他、市役所や美術館、世界遺産ヨセミテ国立公園へ行ったり、もちろんかの有名なケーブルにも乗りました。5回に分けて報告します。今回は#3です。

レストランの宣伝写真(たばこを吸えるところもある)
レストランの宣伝写真
(たばこを吸えるところもある)
  1. コミュニティカレッジ
    San Francisco Community College Downtown Campus
    Oda’s class and Culinary & Service Skill training Program
  2. NPOの保育園 – The Civic Center Child Care Corporation
    C5 Children’s school
  3. ファッション・インスティテュート・オブ・デザイン・
     アンド・マーチャンダイジング
    FIDM – Fashion Institute of Design & Merchandising
     San Francisco Campus
  4. NPOの資金確保のセミナー
    Fund Raising Basic: Ms. Susan Fox
  5. 女性のための起業支援
    Women’s Initiative for Self-Employment
  6. 国内DVと国際的な迫害を受けた女性の支援国際シンポジウム
    Gender-Based Violence Conference

サンフランシスココミュニティカレッジ・ダウンタウンキャンパス

同行した、五十田光宏氏が、2009年10月22日号の堂島通信にスタディーツアーの感想を寄せておられます

「San Francisco Community College Downtown Campus」について

特に考えさせられたのは、サンフランシスコ・コミュニティーカレッジ・ダウンタウンキャンパスへの視察です。コミュニティーカレッジは、地域が支え、その地域の住民、税金を払って住んでいる人たち(さらに将来税金を払う移民)への高等教育及び生涯教育の場として設けられたものです。

特に印象に残ったコミュニティーカレッジの下記のような特徴です。

  1. 受講料は、無料または1講座3ドルからの低料金
  2. 職業訓練を主とした編成(実践的な職業訓練プログラム)
  3. 地域の人材ニーズに対応している

これらは、移民の人達のアメリカ社会に参画する最初のステップにつながり、さらに職種間の移動の障壁を低くすることへの役割を果たしています。

コミュニティーカレッジは、停滞する現在の日本社会の中で、女性・非正規労働者・若年層の雇用問題を解決するための一つのヒントになるのではないかと思いました。このスタディーツアーの参加を通じ私は、海外から日本の社会構造を客観的に見ることの大切さを痛感しました。

トレーニング中の学生Culinary & Service Skill training Program (ケーキクラス)
トレーニング中の学生Culinary & Service Skill training Program (ケーキクラス)
Oda’s class(コンピュータークラス・障害者用のコンピュータ)
Oda’s class(コンピュータークラス・障害者用のコンピュータ)

米国のコミュニティカレッジ

アメリカへ行くのにわざわざコミュニティカレッジの視察にいく人はそう多くないといわれる。あまりにもありふれた風景で、ことさら視察に来ることを想定もしていないようである。特に1970年代以降やり直しのできるコミュニティカレッジはアメリカの人材育成の基本となっていった。編入カリキュラムを持つ公立のコミュニティ・カレッジはアメリカでは重要な高等教育機関のひとつであり、たくさんの学生が通っている。

「コミュニティ・カレッジ」という名前の起源は、デンマークからの移民が、母国の成人のための社会教育の機関、市民大学(フォルケホイスコーレ Folkehoejskole)を元に始めたものと言われている。デンマークのそれは、グルンドヴィという作家で政治家だった人が始めたもので、これは北欧からドイツ、イギリスなどのそれぞれ形態を若干変えて広まっている。デンマークのものは、学歴、資格は一切付与しないもので、教育制度の中の諸大学とは競合しないとてもユニークなものである。

アメリカ中にある約2000以上のコミュニティ・カレッジのほとんどは公立で1200万人以上がパートタイム・フルタイム学生として在籍している。コースは200以上ある。そのうち6~7割は仕事をしながらキャリアップや転職にむけて学んでいる。アフリカ系の47%、ヒスパニックの56%がコミュニティ・カレッジで学んでいる(2005年度)。全米コミュニティ・カレッジ協会の推定によれば新しく医療関係の仕事に就く人々の半分以上はコミュニティ・カレッジで学んだ人々であり、2003年度の時点では看護師資格試験の受験者の6割はコミュニティ・カレッジを卒業した人々であった。

竹中平蔵氏は、コミュニティ・カレッジをセーフティーネットとして位置づけし、以下のように述べているが、私も全くそう思っている。

「私はアメリカの社会には、日本にはないセーフティーネットがあると思います。コミュニティーカレッジのシステムはすごいと思う。あれはようするにセーフティーネットなんですね。1回失敗した人が、もう1回上に行ける仕組みです」

地方に労働の権限を移譲して、教育と雇用を同じ管轄にする

日本の今後は必ずコミュニティカレッジが必要だと思う。いままで日本ではそれがどうしてなかったのかは、

  1.  コミュニティの未成熟(地域自治体はあっても市民自らの連携は少なかった)
  2.  再就職や転職は女性のことであり、男性は終身雇用で生きられるので、社会的関心にならなかった。
  3. 教育は文部科学省、労働は厚生労働省に分かれていて、両省庁は融合されず、人生を通しての職業教育
    (キャリアトレーニング)の重要性は両省庁の狭間でこぼれてしまっていた。
  4.  女性を含むマイノリティーが仕事をして生きるという最も尊いことがないがしろにされてきた。

以上の背景は全て過去のこととなってしまっている。

次回、「SAN FRANCISCO – REPORT #4」に続きます。