[ 2026/02 今月の1枚 ] 中国 雲南省 ミャオ族 – 成人の日の娘たちと羽賀紘一さん

中国 福建省 ミャオ族 成人の日の娘たち

[男性受講生第1号 ] の 羽賀紘一さん

昨秋お亡くなりになった 羽賀紘一さん の思い出です。
NPO法人「女性と仕事研究所」の看板事業は、キャリアアドバイザー養成講座でした。主婦の再就職センター時代の「主婦の再就職準備講座」を大幅に改革し、「キャリアアドバイザー養成講座」として、キャリアアドバイザーという新しい職業を生み出す講座でした。

キャリアアドバイザーは、ジェンダーの視点を持ち、自らメンターとしてのスキル(経験が未熟な人に寄り添った心理的、社会的支援ができるスキル)を持ち、雇用だけではなく起業やSOHO、NPOなど多様な就業支援ができる職業人を育成する講座です。対象は女性を中心に考えていましたが、もちろん男性にもおすすめでした。1997年8月、「国立婦人教育会館(ヌエック)の女性学・ジェンダー研究フォーラムで3日間にわたるプレ講座を開催し、その後、確信を持ってスタートしました。

第1回は、大阪府総合女性センター(ドーンセンター)でWANA関西と共催で「第1回職業アドバイザー養成講座」という看板でした。新聞告知もあり、多くの受講生が集まって頂きましたが、その中のたった一人の男性の参加者が、羽賀紘一さんでした。きちんと背広で身を固めたこれぞ「紳士」を絵に描いたようなお姿でした。

講座では、自己紹介をする機会が何回かあるのですが、もの静かで、柔らかい関西弁の語り口で、最近まで大企業の人事部長を務められていたとのことでしたが、その企業もまた人に優しい会社なのだろうなと思いました。

人事部の関連で “キャリア” に馴染みが深かったのでしょうか、”職業アドバイザー養成講座” のネーミングを「今どき、絶対キャリアアドバイザーですよ、その方がいいですよ」と当初から熱心に推奨されていました。3年後に「キャリアアドバイザー」に変更しました。

[ホノルル・マラソン] と 羽賀紘一さん

カリっとした体格の羽賀さんは、毎年ホノルル・マラソンに参加している健脚でした。記録にもチャレンジされていて、「3時間切るってなかなかなんやで」とも。「でも、走り終わったあと『今年も走れた』って思いながら、ホテルで就寝するときが一番幸せを感じるわ」、「毎年のお馴染みさんに出会うのも楽しみ」とマラソンの醍醐味を聞かせてくださいました。

ホノルル・マラソンに参加できるよう毎朝、起きるやランニングに着替えて芦屋の美しい緑の中を走り続けているとおっしゃっていました。マラソンがとてもお似合いで、キャリアアドバイザーのみなさんも羽賀さんのマラソンの話が好きでした。

[少数民族の研究者] としての 羽賀紘一さん

羽賀さんは趣味の多い方でした。中国雲南省を中心に少数民族の実態調査に、とてつもない回数、実地取材に行かれていたようです。スライドをたくさん見せていただきました。引き伸ばした写真もたくさんお持ちでした。お近くの芦屋市の男女共同参画センターでは何度もスライドを使って講演会をされていました。

「女性と仕事ジャーナル」2009年No18号に
「母系社会・通い婚の女性の生き方ー東方女児国・モースオ人の暮らし」
 というテーマで、一文を寄せていただきました。

『中国雲南省の北方、四川省との境界付近、海抜2700m、ロコ湖の近くに「東方女児国」と呼ばれる約4万人のモースオ人の部落があります』という文章から始まります。

ここでは大昔から母の系統の血縁者とともに家族、血縁社会が出来ていて、家長はもちろん母、母が全ての実権を握っています。村に入るとすぐに「毋、母性への崇拝の強いこと」がよくわかります。13歳になると娘も息子も成人儀式(成人用の服を着用する、最近では15歳が多いとか)を経て成人として扱われます。

つまりそれは、(成人儀式を終えた)女性の家への通い婚ができるようになるということです。女性は気に入らない男性が来たら中から鍵をかけて入れません。子どもが生まれると女性の家に引き取られ、家族みんなで育てます。父親には養育の義務はありません。権利もないというところかもしれません。こんな社会、皆さんがどう思いますか?

[母系性の通い婚社会を合理的だと主張する] 羽賀紘一さん

  1. 男性中心の父系制社会では起こりやすい結婚に関しての相手の家柄や身分、
    財産など一切気にすることはない。
  2. 離婚にも慰謝料や子どもの養育費などの煩わしいことはない。
  3. 一緒になるのも、別れるのもごく自然で、後に尾を引くことがない
  4. 人は好みが変わると言うけれど、別の人を好きになるのに全く抵抗がない
  5. 性犯罪が皆無である
  6. 老人一人暮らしの寂しさや孤独死などは皆無である

といいながら、今の競争社会の中で常に進歩、発展、スピードを強いられている我々にとっては、失ってしまったものがいかに多いかと猛省しておられました。モースオの人たちは、我々とは正反対の社会通念を持ち、争わない、共生社会のもとで、柔軟に、心豊かに生きている。そして何よりも女性たちは、自分たちの生き方に自信を持っいる。私たちの今の生活を見直す視点を持っている、と締めくくっていました。( ヒエーツ!羽賀さんってとってもフェミニストですね。)

NPO法人「女性と仕事研究所」の理事としても、女性と仕事研究所の同窓会の幹事としても、何よりも大事な友人としても、いつも細やかなご支援を頂き、深く感謝してきました。2025年11月、ご夫人から訃報の連絡をいただきました。同級生でもあった羽賀紘一さん、寂しいです。

[ 今月の1枚 ] 羽賀紘一さんに贈った – ミャオ族 成人の日の娘たち

雲南省のミャオ族の娘たちの成人儀式の日を描いた絵です。後ろでカメラを持っているのが羽賀紘一さん(のつもりで描きました)。「このかぶりものは銀製なんですよ。家の財産ですね。でも重いらしいです」と写真をみながら解説をしてくれました。

かいらしいなー」(「可愛らしい」ではなく) と眺めておられました。

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金谷千慧子のブログ by Studio C.

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