4月10日は日本で女性が初めて参政権を行使した記念の日です。もうすぐ選挙!

   

4月10日は、わが国で女性が初めて参政権を行使した日です。 今からちょうど75年前の1946年(昭和21)4月10日、戦後初めての衆議院議員総選挙が行われ、約1,380万人の女性が初めて投票し、39名の女性国会議員が誕生しました(8.4%)。それから4分の3世紀経ちましたが、現在の衆議院議員の女性国会議員数は46人、比率は9.9%で、若干しか増えていません。それどころかその後永らく選挙制度などが変化し、女性の当選者は1~2%程度を低迷し続けてきました。

ジェンダーギャップ指数2021

日本の女性の政治参加率が低いのは、世界経済フォーラムでの「ジェンダーギャップ指数2021」(3月31日発表)でも明らかです。これは「政治参加」「経済」「教育」「医療へのアクセス」という4つの分野で男女格差を指数化したもので、日本は156か国中120位という低さです。特に日本は「政治」分野が147位、「経済」分野が117位とかなり低く、これがジェンダーギャップ指数全体を下げる要因となっています。これは、G7で最低の数値です。

政治的分野では

「政治」分野の評価にあたっては、国会議員(衆議院議員)の女性割合(140位、スコア0.110)、女性閣僚の比率(126位、スコア0.111)、過去50年の女性首相の在任期間(76位、スコア0)の3つの小項目が使用されています。ジェンダーギャップ指数の算出の元データになっているIPUの報告(国会における女性 2018-Inter-Parliamentary Union)によると、世界各国の国会議員における女性の割合は25.5%(2020年)。1995年(11.3%)から倍以上になっています。また、2020年に国政選挙があった57カ国のうち25カ国が、議席や候補者の一定割合を女性に割り当てるクオータ制度を導入したことで、女性議員の割合が上昇しました。

日本では「政治分野における男女共同参画推進法」が2018年に成立し、政党が男女の候補者を均等にする努力義務が課せられたが、実際の候補者数はまだ均等には程遠い状態です。施行後、候補者全体に占める女性の割合は28.1%になりましたが、女性割合をほぼ均等かそれ以上にしたのは社民、共産、立憲だけ。逆に自民は14.6%、公明は8.3%でした。

「経済的」分野では

経済的分野では117位で、小項目では収入での男女格差(101位、スコア0.563)、管理職ポジションに就いている数の男女差(139位、スコア0.173)、専門職や技術職の数の男女差(105位、スコア0.699)などが低く、大きく影響しています。一方で、労働参加率の男女差や同一労働での男女賃金格差は、他の項目と比べた格差は比較的小さくなっています。

グローバルジェンダーギャップレポートよりHuffPost Japan作成

世界全体では?

ジェンダーギャップ指数2021で1位、世界で最も男女平等に近いと評価を得たのはアイスランド。フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド 、スウェーデンが続きます。

世界全体の傾向としてWEFは、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行で、世界のジェンダーギャップはさらに広がったと総括しています。

その原因については、経済活動の停滞で、男性よりも高い割合で女性が失業していること、外出禁止の影響で女性の家事負担が増えていることなどと分析しています。

日本でも新型コロナの感染拡大は多くの人々に経済的なダメージを与えていますが、特に女性雇用者への影響が大きく、そのなかでも女性非正規雇用に襲いかかり、子育て中の女性の生活困窮につながっています。これこそ政治の問題です。

コロナ禍で非正規雇用失業者が急増した2020年、女性自殺者は前年から1000人近く増えて約7000人を記録しました。統計数字から浮かび上がるのは、「雇い止め」増加から約2カ月で自殺者も増えるという残酷な現実があります。

新型コロナの感染拡大は、特に女性雇用者への影響が大きく、そのなかでも女性非正規雇用に襲いかかり、子育て中の女性の生活困窮につながっています。それは次の世代、子どもの貧困へつながるわけです。

どうしたら、その先へ進むのでしょうか

森喜朗オリンピック組織委員会会長(元首相)の女性差別発言に、みんなで怒って、社会はずいぶん変わったように感じがしましたが、実際にはまだまだ政治課題へは届いていないのです。どうしたらその先に進めるのでしょうか。森喜朗問題に戻すなら、今までなら謝罪し、「妻や娘に怒られた」と同情を買うコメントをいい、そのまま会長職はキープ、以前と同じ状態が確保されてきました。私も何度もこのセリフを聞いてきました。そして苦笑いをして終わりにしてきました。放置してきたのです。今回も同じようにいくかと思ったら、もう少しざわめきが続くので、このご老人は自分が辞任せざるを得ないと気づき、すぐ自分と同類のメンバーを後釜に据えようとしました。何も変わらないように外壁を塗り変えようとしたのです。それでもざわめきが続くので、その後、会長職の人は変わりました。しかしこのコロナ禍真っ盛りの4月の後半になって、その会長職はオリンピックを中止にする行動もとれない。政治は動かない。岩盤政治のまま。どうしたら、この先に進めるのでしょうか。

政治への参加しかないのです。もう秒読み段階になっている直近の選挙で答えを出す準備をしましょう。2020年に幕を閉じた安倍政権の看板の一つは「女性活躍」でした。 しかし現在の菅義偉新内閣20人のうち女性はわずか2人。 2021年には、現政権下で初めての衆院選挙が行われます。 候補者の人数を男女均等にする努力を政党に義務付ける「候補者男女均等法」制定から初めての総選挙。政治の現場のジェンダーギャップには、一人ひとりの決意を込めた政治参加しかないのです。

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