国際女性デー(”International Women’s Day”)と反戦

      2022/04/06

毎年、3月8日は「国際女性デー」です。例年多くの国々で記念行事が行われます。女性が果たしてきた社会的、経済的、文化的、政治的な功績を称え感謝する日でもあります。1975年国連は、男女平等を呼びかける世界的な記念日と定めました。

「国際女性デー」は、先進国や途上国、国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性の権利と政治的、経済的分野への参加をさらに盛り立てていく役割を担ってきました。

そして「国際女性デー」の最も大きな柱は、反戦です。しかし今、このときも、ロシアの侵略によって400万人ものウクライナ人が国を追われ、国内から脱出さえ出来ない人々が命を脅かされています。この現実は世界の他の地域で起きている紛争と同様、ウクライナで家を追われた女性と女児が、性的およびジェンダーに基づく暴力の危険にさらされているのです。

今年の「国際女性デー」は、ロシアのウクライナ侵略を非難する声が世界中に広がりました。しかし、例年なら最も活躍が報じられるはずのロシアでは、ジャーナリストの活躍が封じられ、コロナの影響も重なり、女性たちの活動は少なかったとBBCは伝えています。

国際女性デーの由来と歴史

「国際女性デー」は、100年以上も前にアメリカとヨーロッパ全域で展開した女性の労働運動に端を発しています。

11908年、ニューヨークで発生した縫製労働者のストライキで、女性が8時間労働制や労働条件の改善を訴えたことを記念し、翌年、アメリカは3月8日を「全米女性デー」と指定しました。

2)1910年、社会主義インターナショナルはコペンハーゲンで会合を開き、女性の権利を求める運動に敬意を表し、女性の普通選挙権に対する支援を盛り上げるため、国際的な性格を有する「女性の日」を制定しました。フィンランド議会選挙で初当選した女性3人も出席しました。フィンランドは1906年、世界で初めて女性に完全参政権を持った国であり、100年余を経て、男女平等も暮らしやすさも教育程度も世界でトップの国になっています。

その後、オーストリア、デンマーク、ドイツ、スイスでも初の「国際女性デー」の記念行事が行われ、100万人を超える女性と男性が集会に参加しました。参加者は選挙権と公職につく権利に加え、女性が働く権利、職業訓練を受ける権利、職場での差別に終止符を打つことを要求しました。

3)1917年のこと、100年以上前のロシアの国際女性デー

「国際女性デー」の歴史上最大のできごとは、 1917 年 2 月23日(2月の最終日曜日:グレゴリオ暦で3月8日)、首都ペトログラードで国際女性デーにあわせて、 女性労働者たちがストライキに入り、デモを行ったことです。 食糧不足と労働条件への不満を背景に、「パン」よこせの要求が次第に中心となり、男性労働者、更には兵士も巻き込んだ大規模な蜂起となり、ついにニ コライ2世は退位へと追い込まれ、ロマノフ朝は崩壊したのです。暫定政府は女性に選挙権を認めました。

4)1975年(国際婦人年)、国連は3月8日を「際女性デー」と定めました。

5)1995年、189カ国の政府が署名した「北京宣言および行動綱領」は、女性に関する12の非常に重要な問題領域を定め、一人ひとりの女性と女児が、政治に参加すること、教育を受けること、所得を得ること、暴力と差別のない社会に暮らすことなどを「自らが選択できる」ビジョンを描きました。

6)2010、国連総会で「女性に関わる国連の活動と組織改訂」について決議し、「男女平等と女性のエンパワメントのための国連機関」(略称 UN Women) を設立しました。国連のジェンダー平等を強化するものです。ジェンダー平等と女性のエンパワメントに対する関心をさらに高め、これに取り組むための資源を充実させるうえで、重要な役割を果たしています。2011年1月1日より活動を開始しました。さらに各国の状況に合わせて UN Woman の活動を進めるため、一カ国につき国内委員会 (National Committee) を一団体に認めたのです。

7)2022年3月8日、国際女性デーに関する声明(UN Woman /日本事務所)で、今年のテーマを「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」と決めました。

反戦とジェンダー平等、男らしさとは

国連開発計画(UNDP)は、ウクライナ国内及び難民を受け入れている近隣諸国と紛争の影響を受けている人々を支援しています。和平調停、紛争予防、平和構築の取り組みなどで持続的な解決策を見つける上では、女性が平等かつ有意義な形で最初から最後まで加わることが極めて重要です。しかし女性は重要なポストからは排除されています。力を発揮するすべがありません。

これまで歴史で、戦争はほとんど男性の指導者が起こしてきました。独裁者もほぼ男性です。そして兵士となり戦わされ犠牲になるのもほとんどが男性です。しかし戦争や殺し合いは、男性らしさの問題(男らしさの神話)ではなく、避けられない「人間」の性(さが)として語られてきました。しかし本当は「他者を支配する」とか「強くたくましく弱音を見せない」という、男らしさの神話と言われるジェンダーの不平等が紛争をやむえないものとして戦争を是認してきたのではないでしょうか。戦争の本質をぼやかしてしまっています。

もちろん、女性の独裁者が戦争を引き起こした例もありますが、“男らしさ”に惑わされてきた女性も男性も、戦争を許してきた原因ではないのでしょうか。間違った「男性らしさ」を、「たくましさ」を、「理論的整合性」「決める力」「実行力」「政治力」などとはき違えたまま、戦争に引きずり込まれていったのではないでしょうか。暴力・武力以外の方法で、ソフト・パワー、スマート・パワー(ジョセフ・ナイ・ジュニア著)で、闘うのではない紛争の解決方法を女性たちから学んでほしいと思います。

国連とジェンダー平等、環境問題

女性は反戦だけでなく、気候・環境分野で重要な役割を担っており、適切で効果的持続可能解決策を生み出し、実行しています。しかし、環境の悪化と希少資源をめぐる競争の激化により、ジェンダーに基づく暴力のリスクが悪化し、脅迫や暴力に直面することがあります。それを改革しようと環境保護や気候変動対策において女性が最高レベルの指導的立場に就こうとすると「ガラスの天井」があります。女性が政治のトップになれないことが、地球環境の悪化を進行させてしまっていると思います。

しかし現在、国連を無視する態度が続いています。この犯罪的態度は許されることではありません。世界中の人々の思いをつなげて、国連の機能強化を緊急に図ることが何より重要になっている時節です。

国際女性デーにミモザを贈るようになったのはなぜ

イタリアをはじめヨーロッパでは、男性が女性にミモザ(ギンヨウアカシア-Acacia baileyana)の花を贈る習慣が昔からあり、3月8日頃を中心に春の先駆けの花、ミモザが街中を飾ります。女性同士が花を贈り合うという習慣があったともいわれています。

ウクライナの男性が母親と妻にミモザの花束を渡して戦地に向かった、という写真が新聞に出ていました。そして「今年もミモザを贈れてほんとによかった」と言ったとか。泣きそうになりました。

何年か前の3月8日、ちょうどローマで、街がミモザだらけでびっくりしたことがありました。商店のウインドウは窓一杯にミモザ。男性たちはミモザの花束を当然というような顔で押し売りしていました。教会もミモザだらけ。観光客も道行く男性からミモザをもらいました。バスの車窓からはミモザで黄色の景色が広がっていました。ミモザは結構、大木になるようです。平和だったなーと今思い出します。

私は、著書を出すのに「国際女性デーを記念して」とあとがきに書きたくて、意識していました。そして講演のレジュメの最後は、自分のミモザの油絵で終わりにしたものです。

 

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