ヒューマニストを描く「チェ28歳の革命」

      2014/10/23

2009年はキューバ革命50周年です。2人の指導者の一人カストロは存命ですが、一方の「チェ、ゲバラ」は1967年ボリビアで政府軍に銃殺されました。スティーブン・ソダーバーグ監督の映画『チェ28歳の革命』と『チェ39歳の別れ』を合わせて、約4時間半の長編を一気に観ました。

ゲバラを演じたベネチオ・デル・トロは2008年度カンヌ映画祭主演男優賞を受賞。これが2001年のアメリカ映画だったとは「ほんとに?」と思ってしまいます。ブッシュ時代がはじまり、その後の8年間で「テロ撲滅」の名の下にアフガニスタン、イラク戦争が続き、女性問題は封緘され金融バブルの破裂から今の世界的な経済破滅という結果を招きました。この最悪の8年間は上映されなかったのです。キューバといえばケネディ大統領時代の「キューバ危機!」にラジオに耳を引っ付けて聞いていたのを思い出します。ソ連がキューバへ核ミサイルを配備しようとして、アメリカが激怒。ケネディ大統領は海上封鎖を決意しあわや核戦争かといわれた1960年のことです。ジョン・レノンが世界でもっともカッコいい男といったという「ゲバラ」とは、どんな人間なのだろうという興味本位で映画館に行きましたが、ヒューマニストとしてのチェ、ゲバラ(本名エルネスト・ゲバラ、医師、アルゼンチン人)の人道愛と情熱と卓越した行動力の真髄を充分に描ききれていたと思います。

チェ、ゲバラはトレードマークの黒いベレー帽をずっとかぶっていました。映画の後、立ち寄った東京代官山の帽子屋さん(CA4LA http://hatbox.jp/)は、この映画の支援をしているということでした。この帽子屋さん、シックな英国調の構えにもかかわらず、棚の商品は全部ジェンダーフリーでした。紳士もの、婦人ものなんて区別はないのです。大阪の家の近くの商店街で最近つぶれた伝統ある帽子屋さんは、区別していましたね。今後生き延びられるかどうかの境目はひょっとしたらこんなところにもあるのかなと感じ入りました。

変革の時代へと足を踏み入れた2009年、本気で国を変えようとした「チェ、ゲバラ」が帰ってきたことを実感した映画でした。

「東京會舘フロントの雛飾り」

「東京會舘フロントの雛飾り」

 - ブログ

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

ブログ復活!

International Women’s Day は、日本では少し下火になって …

フェミニズムとわたしと油絵(2013~2023)(その12)

1 書籍完成! かねてより注力していました『フェミニズムとわたしと油絵―「描かれ …

新年おめでとうございます!
「100年」にうたう「君死にたまふことなかれ」

女性と仕事研究所は2004年4月で東京事務所設立5周年を迎えました。ちょっとした …

紫陽花の絵をもらってくださる方への手紙

このGWに紫陽花の絵を仕上げました。私は紫陽花が好きでよく描きます。もう荷造りを …

今月のもう1枚―「赤いトミー」

またたく間に暑い季節がやってきました 6月のさなかと言えば、「むし暑いけどちょっ …

2024年秋、日本の政治と企業は変わるのか リーダーシップの変革を

兵庫県知事のリーダーシップの欠如 兵庫知事は辞めろ」パワハラ疑惑で市民ら100人 …

雛祭りという優しいひびき

「おひなさま」には、なんとも言えない懐かしさと優しさが響き合います。女の子だけに …

ラトビア、首都リーガは美しい街

ラトビアはバルト三国でも最も小さい国。人口は200万人弱、面積は日本の北海道の約 …

認知症になっても、高齢女性の一人暮らしは可能か(その1)

今売れている2冊を読みました。上野千鶴子さんの『在宅ひとり死のススメ』(文春新書 …