認知症になっても、高齢女性の一人暮らしは可能か(その1)

   

今売れている2冊を読みました。上野千鶴子さんの『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)と樋口恵子さんの『老いの福袋』(中央公論新社)です。フェミニズム運動の最先端を走ってきたお二人は、今や上野千鶴子さんが72歳になり、樋口恵子さんが88歳になりました。この年齢を踏まえてお二人のフェミニズムはとてもリアリティーに満ちています。今までのどの著作より生の言葉があふれていると思います。今の年齢の生活を語るには、自分の出生や生い立ち、過去の恋愛や家庭生活を抜きには、生活の実態は語れないからです。上野さんも樋口さんもそこはとても赤裸々だと感じます。


「The personal is Political」(個人的なことは政治的である)
元来フェミニズムでは、「The personal is Political」(個人的なことは政治的である)が貫かれています。個人的なこととみなされてきたものを、暴かねばならない社会構造として認識することで、恋愛や結婚・子育てなどが、じつは家父長制とないまぜになって、女性の経済的自立を阻んできたということをフェミニズムは明らかにしたのです。高齢女性の貧乏生活、女性たちのネットワークの少なさが高齢女性の一人ぐらしを息苦しいものにしています。それは社会構造の中に組み込まれているわけです。上野千鶴子さんや樋口恵子さんにおいてさえ、じたばたしながら高齢女性の一人暮らし、ひとり死を模索しておられます。
私は82歳。もうすぐ83歳です。私もフェミニストとして走ってきました(つもりです)。フェミニストとして生き続けたい今の私の最大の課題は、これから何年残っているかわからない人生の最後をどう過ごしたら、フェミニストしての生き方を全うしたことになるのか、自分で納得できるのかを私は迷っています。夫が死亡して1年が経ち、愛犬との暮らしが続いています。子どもと家族が近くにいるのに一人暮らしです。でもこれは決して寂しくはありません。不安でもありません。
「認知症になったら、在宅は可能か」
ただすべて人が、悩んでいることに私も突き当たっています。「認知症になったら、どこか施設に入らねばならないのかしら」(そろそろ探し始めねばならないのかな)「誰にその判断をしてもらうのだろうか」「任意後見人って登記が必要なのよね」「認知症になって死ぬまで資金はどのくらい必要なのだろうか」
など、認知症なったらどうしようという結論がなかなかでないのです。そんな中で日々暮らしています。でも結論を出して前へ進みたいとも思っています。
ご紹介するお二人のうち、上野千鶴子さんははっきりと「施設でもなく、病院でもなく大好きな自宅で自分らしい幸せな最後を迎えたい。その心準備と心構えをお伝えします。「おひとり様の最後」を支える医療・介護・見取りの最前線も紹介。いがいとお金もかかりません。私、ウエノも、最後は「在宅一人死」でゆくつもりです」言明されています。
「家も古くなる、建て替えができればいいね」
樋口恵子さんは、そこまで明確には言われません。家を建て替えて、一人娘との同居(一人暮らしが二人いるような生活、と書いています)をしておられます。樋口恵子さんの夫氏が亡くなられたとき、お悔やみにお宅に伺ったことがありました。それぞれに玄関が2つあるお家でした。たくさんのお花に囲まれて樋口さんは茫然とした様子で言葉少なでした。あのお家を高齢期の暮らしに備えて、建て替えられたのです。あちこちに手すりを付け、いざという時のために小さなエレベーターも明け、疲れたらすぐ横になれるよう、書斎と寝室を一体化し、部屋のすぐそばにお風呂やトイレを造ったそうです、玄関を引き戸にし、力がなくても開け閉めしやすく、車椅子生活になっても使いやすいようにしたそうです。建て替えたことで隙間風もなくなり、冬は暖かく、夏は涼しくなったそうです。
私も建て替えほど大がかりではなかったですが、リフォームと暑さ・寒さ対策を実施しました。
樋口恵子さんの意見は、「在宅一人暮らし」を「今の段階では、どちらとも決めていない」そうです。娘に介護の負担をあまりかけたくないので、自立した生活ができなくなったら、施設に移るつもりだそうです。
さてお二人のご意見を拝聴したうえで、本格的に高齢女性の一人暮らしはいつまで可能かをもう一度自分の身体状況と考え併せて検討してみたいと思っています。まず次回は、単身高齢女性の経済力についてです。(次回その2・その3につづく)

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