ポスト・コロナに向けてーリーダーの在り方(リーダーシップ最終稿)
コロナ危機の下でのリーダーシップ
今回がリーダーシップについての最終稿である。
12月6日(日)、BS-TBS開局20周年記念番組 報道1930「スペシャル~危機下のリーダー論」(19:54 〜21:54.)を観た。時節を得たよい番組だった。武漢でコロナウイルス患者が確認されてから1年が過ぎた今、世界は尚、コロナに翻弄され続けている。コロナ感染者は、アメリカでは1458万人、イギリスで118万人、ブラジルで657万人、アジアでは日本が最も多く16万人にのぼっている。世界では6759万人 死者154万人とまさにグローバル経済化を象徴する数字になってしまっている。
日本では菅内閣の支持率が急落しており、12月6日の共同通信電話世論調査では50.3%と前回11月調査より12.7ポイント低下した。政府の新型コロナウイルス対策では「評価する」は37.1%で、「評価しない」が55.5%と11月の前回調査から賛否の多数が逆転した。また感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか尋ねたところ、「どちらかといえば」を含め「感染防止」を挙げたのは計76.2%に上った。専門家の意見に耳を傾けず、Go To政策のゴリ押しでますます感染が広がり増え続けており、リーダーのコロナ対策は支持されなくなっている。
いやひょっとすると、時の政治家は自分をリーダー(定めた目的に到達するため組織を導く責任者、国民からこの仕事を誠実にやるように委任されている人)ではなく、支配者(集団をコントロールしようとし、全ての権力を手にしようという欲を持つ人)と考えているのかもしれない。だから人の命を切り捨てても、心が痛まないのかもしれない。
ところでこの度のコロナウイルスで世界各国のリーダーの在り方が一度にあぶり出されてしまった。リーダーが国民をコロナから守ろうとするかしないか、はっきり明確に「見える化」されてしまった。リーダーが国民をコロナから守ろうしない国では、人命も経済もと両立を推し進めるといいながら、その実、ウイルス対策には身を入れず、人々の痛みも理解せず、専門家の意見(化学)をないがしろにして、従来通りの『経済・儲け』に走っているだけである。
リーダーが国民をコロナから守ろうとしない国では、人はコロナで死に、経済も回らなくなっていく。いのちに対しては無策で放置し、効率一点張りの企業経済活動に、なんの反省もせず立ち止まることもなく、突き進みたいだけである。『いのち』と『もうけ』の両立は不可能なのである。両立に走る国は亡びる!『いのち』を尊重することからしか社会は回っていかない。経済も社会も動かすのは人なのだから。
メルケル首相の演説になぜ涙が出るのか
ドイツのメルケル首相が2020年3月18日、国民に呼びかけた名演説はこの番組でも取り上げられた。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Angela_Merkel_(Tobias_Koch).jpg
- 私たちの「寄り添う力」が試されているように思います。(この「私たち」には、メルケル氏とともにいる遠い日本の私も含まれていて、で呼びかけてもらっている気がしてくる)
- いま私たちに必要なのは、力をあわせてできるだけ感染の広がりを抑えること、そして不幸にも感染してしまった人々やその家族を支えることではないでしょうか。「あの人、困っていないかな?」と思う人やお店などがあったら、メールや電話で一声掛けてみませんか。「気に掛けてくれている人がいる」ことが小さな力になるかもしれません。思いを届けることを増やしたいと思います。
- 現在の喫緊の課題は、ドイツに広がるウイルスの感染速度を遅らせることです。そのためには、社会生活を極力縮小するという手段に賭けなければならない。これは非常に重要です。もちろん、国の機能は引き続き維持され、物資の供給体制は確保され、経済活動は可能な限りの継続を図っていきますので、あくまでも理性と慎重さに基づいて行っていきます。
私も総理大臣からこんな言葉で呼びかけられたら、うれしくて涙が出るだろうと思う。毎度、毎度上から目線で「悪いのはそっちだ」と言われているような感じだから。
放送では、その後、ニュージーランドのアーダーン首相の国民へのメッセージとフィンランドやデンマークで、コロナの危機の下、リーダーシップを発揮し、世界の模範となっている女性リーダーたちが紹介された。彼女たちはパンデミックのなか、冷静な判断力や緻密で大胆な行動力に高い評価が上がっている。これまでの男性リーダーとどこが違うのかを学ぶべきだと思う。
この番組のコメンテーター堤 伸輔氏は女性リーダーの評価が高い背景について、次のように言った。氏の言葉とは正確さを欠くかもしれないが、要旨は以下のようなことである。
「~・・男性の政治家が『国を守る』というとき、頭に浮かべるのは『国家』という組織体である。だが女性リーダーが国を守るというときには、ひとり一人の人を具体的に対象としている。そこに大きな違いがある。女性は本来、子を産み、育ててきた長い歴史がある。そこには戦争(殺し合うこと)に明け暮れた男性政治家とは違う人のとらえ方が生まれてくる。これは男女を異なる役割があるなどという趣旨ではないが、今この危機下において必要なのは、女性リーダーの感受性や共感なのだろう」と。ただ、コロナのなかで人を守りながら経済も支えている女性リーダーたちは、コロナ以前からリーダーだったのであり、コロナ禍だから感受性や共感性の優位を含めて、リスクに向き合う能力、決断する能力、コミュニケーション能力などの高さが浮き彫りになったのである。
ポスト・コロナにこそ女性リーダーが求められる
ポスト・コロナの時代は、もう元の状態ではない。新し時代である。新しい時代を再構築するにあたって重要な点は、女性の視点から政治をやり直すことだ。ジェンダー目線の導入である。政治の世界では、女性活躍推進といいながらも、特に日本の場合には女性の視点が欠如している。女性の政治への参入が少なすぎる。「ケア労働」も含めて働く女性へのフォローも欠如している。企業においては、今回のコロナ禍を受けて働き方の見直しが進み、在宅勤務(テレワーク)が、子育て中の女性社員だけでなく全社員に対象が広がったといえる。しかし在宅の仕事に加えて家事育児・介護といったケア労働を担っているのは女性たちである。ダブルワーク、トリプルワークをしている。過重労働である。日本人女性の睡眠時間は世界でも最も短いとされている。日本の女性は睡眠時間を削って有償勝労働・無償労働を担っている。女性の能力発揮が叙実に制限されているのである。女性の優れた能力を発揮できるようにしよう。
【平均睡眠時間の男女差(女性-男性)】
女性の優れている能力を再確認しよう
- 現実と向き合う能力が優れていること
- 人々と共感する能力が優れていること
- 決断する能力に優れていること
- コミュニケーション能力に優れていること
- テクノロジー活用能力に優れていること
- いつくしむ能力に優れていること
(了)
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