ヒラリーの敗北とトランプ大統領
ヒラリー・クリントンの敗北にショックを受けている間に、ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領就任式は1月20日に迫ってきた。人種差別、女性差別の発言を繰り返し、外交や統治についての無知さをさらけ出してきたにも関わらず、当選したのだ。ドナルド・トランプ氏(70)は、長年にわたる国民の不満を吸収して、支配層への恨みとして吸い上げ、それを「アメリカ第1」と言うナショナリズムで得票にした。エリート主義(エスタブリッシュメント)に対抗するポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭が明確になった。この半世紀にわたるジェンダー平等への流れは止まるだろう。ポピュリスト政治の台頭は世界へ広がるだろう。
「トランプ氏勝利の影響は世界中に波及し、⑴経済⑵政治⑶民主主義の危機を招くだろう」と識者はいう。大変な時代に出くわしてしまった気がする。ポピュリズムは、格差社会が続くことから出発する。幅広いはずの中間層が生活の不安といつでも貧困層に滑落することを実感する頃、たちどころに始まる。不安と恐怖はテレビにあおられて、ポピュリスト政治になる。トランプ氏もテレビで鍛えられた口調なのだと実感する。
トランプ氏の就任式には参加者が大幅に減ると見込まれているが、特記すべきは抗議活動の多さだという。就任式前後を含めて数十万人が抗議に参加するとみられている。これまでに少なくとも15団体がデモ行進の許可を申請。女性団体が21日に行うデモ行進についてはすでに許可が出ているが、それだけで約22万人が参加するという。
過去にも、抗議活動が目立った就任式があったが(ニクソン:ベトナム戦争反対・ブッシュ:選挙集計結果など)、トランプ氏の就任式ではこれらを上回ることが予想されているそうである。
そうか、就任反対デモという手段もあるわけだ!と、われながら反応の鈍さにいやになる。私もあきらめ半分になっていたではないか。私もできることを足元から実行しなければならない。
選挙翌日のヒラリー・クリントンの「敗北宣言演説」も今世界中の人から、感動を呼んでいる。ヒラリーは涙をにじませながらも、やはり未来を見据えていた。「正しいことのために戦うことは意義のあることだ」「まだやるべきことはたくさんある」「いつかきっとガラスの天井は破られる!」といった。そして若い女性たちを励ましている。なんと胸を打つ言葉だろうか。まだ読んでいない方、ぜひ一度「敗北宣言演説」全文を読んでみてください。
「みなさんが、どれほど失望しているか私にも分かります。なぜなら思いは同じだからです。そして、今回の選挙戦に夢や希望を託して望んだ何千万人ものアメリカ国民も同様だと思います。この“痛み”は、長く続くことでしょう。でも、決して忘れないでください。この選挙戦は、誰か一人のためでも、この1回の選挙のためだけでもありません。私たちが愛する祖国のためであり、希望に満ち、包容力にあふれ、寛大な心を持つアメリカを創りあげるためのものだった、ということを。
私たちは、考えていたよりも、ずっと深く分断されているこの国の姿を目の当たりにしてきました。それでもなお私はアメリカを信じ、これからもその気持ちは変わりません。みなさんも同じように信じていてくれるなら、この結果を受け入れ、未来へと目を向けましょう。」
関連記事
-
-
4月10日は日本で女性が初めて参政権を行使した記念の日です。もうすぐ選挙!
4月10日は、わが国で女性が初めて参政権を行使した日です。 今からちょうど75年 …
-
-
この秋、投票に行こう!―女性に光が当たる政治へ
職を奪われる女性たち 新型コロナウイルス禍は、女性により深刻な影響を及ぼしている …
-
-
総理大臣が産休!
ニュージーランド、37歳のアーダーン首相2人目を出産 https://www.a …
-
-
セクハラ野次は日本の女性の位置づけを物語る
6月18日、東京都議会の本会議の一般質問で塩村あやか議員(35)が …
-
-
だいじょうぶでしたか? ―熊本大地震に寄せて
昨夜の警報で熊本市での震度7の地震を知りました。懐かしい熊本の友人の安否がとても …
-
-
イラン「女性のヒジャッブ(ベール)」はどうなるのか? 世界は今や、選挙の季節―イランも日本も、アメリカも
イラン大統領選挙、改革派のペゼシュキアン氏の勝利確定! 世界中が選挙の季節です。 …
-
-
コロナ禍のリーダーシップ (その4 フェミニン・リーダーシップ)
女性リーダーの国は「幸福度」ランキング上位 世界幸福度ランキングとは 世界 …
-
-
スーチーさんの時代がきた
アウンサンスーチーさんがいつも髪に差している鮮やかな花の髪飾りは、再会することな …
-
-
2024年秋、日本の政治と企業は変わるのか リーダーシップの変革を
兵庫県知事のリーダーシップの欠如 兵庫知事は辞めろ」パワハラ疑惑で市民ら100人 …