総理大臣が産休!

   

ニュージーランド、37歳のアーダーン首相2人目を出産
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20180621003359.html

NZの10ドル紙幣絵は女性参政権運動のリーダー、ケイト・シェパードとキューイ

よく考えれば当たり前なのですが、「えっ、ほんと?」「そんなに若い女性が総理大臣に?」「トップが休暇を取るの?」と思ってしまいます。
現在の首相ジャシンダ・アーダーンは、女性で3人目の首相です。女性と政治ではニュージーランドは最先端の国で、女性の参政権確保(投票権:被参政権を含めるとフィンランドが1906年で最初)が1893年世界で最初。しかも先住民族は置き去りにされることが多い中で、先住民族マオリの女性も同時でした。現在議会は一院制で120人、4割以上の49人が女性議員で占めています。

筆者がクライストチャーチを訪れていたとき(1999年)にもちょうど選挙があり、そのときは首相候補(労働党と国民党)がいずれも女性でした。並んだ2人の女性のポスターを観て感動したのを覚えています。一緒にいた私の友人は「今度は絶対労働党!」と政策の違いを主張していましたが、私は、年寄りではない2人の女性が政権を争うという事実にただただ日本との格差を感じていました。

ジャシンダ・アーダーン首相は、女性の地位向上を阻む「ガラスの天井」を打破しようとする姿勢が国内外で共感を呼び支持率も高く、高等教育の無償化や最低賃金の引き上げなどを矢継ぎ早に実施し、安定政権の運営につながっています。ベーシックインカム(basic income)制度を取り入れる動きもあるといわれています。ベーシックインカムは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされる額を定期的に支給するという政策ですが、日本でも貧困化が進む中、真剣に検討される時期だと思います。しかし、ベーシックインカムは貧困国になってしまうともう財政上、不可能になります。

日本もニュージーランドも国土は南北に細長い島国というのが似ています。面積は日本のほうが1.4倍広く、人口は日本が20倍ほど多く、ニュージーランドは人間より羊の方が多い国とよくいわれています。日本は北海道、本州、四国、九州の4島、ニュージーランドは南島と北島の2島です。赤道を挟んで真逆の位置にあるので季節も間逆になるのですが、日本と同様四季があります。しかし、日本ほど寒くなく、暑くなく、とても住みやすい国だと思います。もう一度必ず行きたい国の一つです。

ニュージーランドの「ポリテクニック」―仕事も学問も充実させる生涯教育制度

一人ひとりの仕事も学問も充実させる生涯教育制度―ニュージーランドの「ポリテクニック」は、福祉国家ニュージーランドの文化度の高さ、国民の幸福度の高さ(世界8位;日本は54位2018年)を表しているものであり、ジェンダー平等を実現している土壌をつくっている制度だと思います。

ニュージーランドでは、自分が希望する学科が学術をメインにするものか、職業教育をメインにしたものかを明確にすることから、人生のスタート、リスタートが始まります。基本的に手に職を付けたい人は、ポリテクニックで学べる学科を調べます。エンジニア、シェフ、獣医、建築、看護師、通訳、アート、デザイン、ツーリズムなどを学び、即就職につながります。ポリテックでも大学同様、学位の取得が可能ですが、ポリテクニックを卒業後、学術をめざそうと思えば大学へそのまま編入することができます。入学時期は2月と7月の場合がほとんどです。ポリテックは大学同様、「国立」で安価です。大学もポリテクニックも高い教育水準を誇る高等教育です。500万人口に25箇所あります。

Ara Institute of Canterburyは、2016年大学と職業訓練専門学校が合併しました。通常のUniversity(大学:学問や学術を基本)と、ポリテクニック(職業教育:実学を中心のカリキュラム)が複合されているのが特徴です。
ここではサーティフィケート・ディプロマから、学士・既卒向けコースに至るまで、幅広い資格を提供し大学と同等の資質を備えつつ、職業訓練のための庶民の総合専門学校という面も併せ持つ国立の総合教育機関となりました。

筆者が何度か訪問したクライストチャーチキャンパスは、100年を超える歴史を持ち、古くからニュージーランド南島の教育の要としての役割を担ってきました。しかも市内の中心部にあるので利便性が高く、外国人も多く女性も気軽に通学できます。200以上のコースが提供されていて、ビジネスコース、ホスピタリティー、ツーリズム、食肉加工など数え切れないほどの専門コースがあります。キャンパス内には大きな図書館をはじめ、コンピュータ・ルーム、学生ラウンジ、語学自習センター (LSAC)、レクリエーション・センター(体育館)、トレーニングジム、医療センターなどの施設があります。カウンセラーも常駐しており、学校や生活の相談も気軽にできます。キャンパス内に保育園もあります。ネクストステップセンターという教室は、特に女性の再就職のために限定してアサーティブトレーニングなどを中心としたカリキュラムが準備されていました。入り口に「女性は何でもできる(Women can do anything)」というポスター貼ってありました。

その国の教育制度は国の文化度や幸福度を表すものだろうと思われます。
近年の日本の貧困層の増加は教育制度の貧しさ(教育予算の低さ、いじめによる自殺、教師の過労、教育費の高騰、儲け主義の大学、生涯職業教育の欠如)と深くかかわっています。人生のやり直しや幸福になることを後押ししない日本の教育制度は仕事環境の厳しさ(働き方改革法案成立でさら過酷になるだろう)とともに、次世代の未来をさらに厳しいものにしないだろうかと案じます。

 - 女性と仕事, 女性と政治, 女性と政策, 海外事情

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