NYの裏側があぶり出されたコロナ災害
今年の2月から3月にかけて、このブログのアメリカ報告の途中から、世界中で新型コロナ禍が襲いかかり、もはやコロナ以外の何も考えられないようなすさまじいコロナ惨禍が起こってしまいました。
ちょうど次回はアメリカのメディケアと高齢者の包括的支援制度を実践している訪問先SF・オークランドのCenter for Elder’s independenceの訪問記を書こうとしていた折でした。
訪問したこのエルダーセンター(高齢者介護施設)では、特に住居者たちの人種差別や性差別について敏感に否定する活動をしており、性差別の禁止が高齢者介護の根本的な課題であると、ディレクターのダイアナ・ギャレットさん強調していました。医療に頼らない、健康で生き抜くための支援をモットーにしているこの施設でも、その後コロナ禍は侵入してきて、大変な思いをしているということです。
ダイアナ・ギャレットさん(ディレクター。15年勤続 母親の介護がきっかけでこの仕事に従事したとのこと)
アメリカと日本では公的健康保険制度が大きく異なります。日本では国民皆保険制度を導入していますが、アメリカでは受給資格がある人のみ公的医療保険制度に加入できます。主な公的医療保険制度として、メディケア(Medicare)とメディケイド(Medicaid)があり、メディケアは、65歳以上の高齢者、身体障がいを持つ人、および透析や移植を必要とする重度の腎臓障害を持つ人を対象としたもの連邦政府が運営する制度です。メディケイドは、低所得者を対象に、州政府と連邦政府によって運営されています。 そのためこれらの制度の対象外となる人は民間の保険への加入することになるようです。ちょうど働き盛りの中間層、中間年齢層が、民間保険に多額の保険料を支払って何社か加入するようです。
コレラの民間保険に入れない層ももちろんいます。米国勢調査局のデータによると、2018年の医療保険未加入者数は2750万人に増えました。 医療保険制度改革(オバマケア)により、未加入者数は過去数年にわたり減少傾向にあったのですが、トランプ政権の改悪のより10年ぶりに増加に転じているのです。 www.us.emb-japan.go.jp/j/genchi/us_ssn_medicare.htm
そして今回のコロナ禍において、世界のどの地域よりも大きな惨禍を見せつけたのがアメリカ・NYです。ニューヨークの表の顔の華やかさではなく、裏の悲惨な医療実態を図らずも露呈したことになりました。
2020年5月20日のアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によりますと、新型コロナウイルスの感染が確認された人は世界全体で486万7515人、亡くなった人は、32万1459人となっており、アメリカはそのトップで、感染者(152万人)、死者数(10万人)という数字になっています。最悪の国といえます。武器で病人は救えないのです。
さらにこのアメリカの感染者・死者数(率)には、人種によって大幅に違いがあるとわかってきました。黒人やヒスパニック系の貧困層が特に深刻で、医療費が高額なので、ちょっとのことでは医者にはかかることなく、充分な医療が受けられず自宅でなくなるケースも多いそうです。確認されない自宅死が増えているようです。根深い人種差別もその背景にあるのでしょう。
アメリカは建国以来の自主自律の精神を過度に強調する国ですが、結局、アメリカは、個人レベルではほんの一部の強者を産み出すことには成功しましたが(アメリカンドリーム)、国の総合力といった面からすれば、以外にも低いレベルの国であったということがハッキリということでしょう。世界の貧困率(OECD調査)では、アメリカは世界3番目に貧困率が高い国です。日本も4番目ですが。
アメリカはトランプ氏に代表されるような金満家が派手に目立ちますが、それはアメリカ全体の姿ではないようです。勘違いさせられていたようにおもいます。アメリカはお金と健康と運に恵まれた人だけが楽しく住める国だということが今回のコロナ騒乱で図らずも露呈しました。
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