「100年」にうたう「君死にたまふことなかれ」
2014/10/06
女性と仕事研究所は2004年4月で東京事務所設立5周年を迎えました。ちょっとしたパーティを7月10日、広尾のレストランで開きました。歌手の吉岡しげ美さんが私の大好きな与謝野晶子をうたってくれました。1904年(明治37)9月雑誌「明星」にでた「君死にたまふことなかれ」(吉岡しげ美作曲)と1911年(明治44)に発刊された『雑誌青鞜』の巻頭詩「山の動く日きたる」(同)です。
大阪堺の羊羹屋「駿河屋」の娘だった晶子が、弟壽三郎の日露戦争従軍に対してうたったものです。堂島の大阪事務所の隣は本家駿河屋さんです。
100年前、弟壽三郎は駿河屋の若い跡継ぎでしたが、初産を控えた妻を残し旅順口包囲軍にいました。弟は姉に何度も手紙を出し「若き人をよろしく、万一の時は後のこと、よろしく」と頼んでいたようです。晶子は弟の気持ちをひとしお哀れに感じ、心からの叫びを歌にしました。
すめらみことは戦いにおおみずからは出でまさね
君死にたまふことなかれ
すめらみことは戦ひに
おほみずから出でまさね
かたみに人の血を流し
獣の道で死ねよとは
死ぬるを人のほまれとは
おほみこころのふかければ
もとよりいかで思されむ少女(おとめ)ごころを思ひみよ
暖簾のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻を
君わするるや、思へるや
十月も添はで 別れたる
少女(おとめ)ごころを思ひみよ
この世ひとりの君ならで
ああまた誰をたのむべき
君死にたまふことなかれ
100年後の今も、理不尽な戦禍は絶えない。ひとり一人が「君死にたまふことなかれ」と、叫び声をあげる勇気が今、必要です。
関連記事
-
-
絵の具の話。絵を描き始めました
この4月からまた油絵を始めました。 忙しさに負けて、随分長く封印してきました。2 …
-
-
寄りかからず。 立て、立ち上がれ!
詩人の茨木のり子さんは2006年2月17日79歳で亡くなった。大阪市の出身。夫死 …
-
-
フェミニズムとわたしと油絵(2013~2023)(その16) 展覧会から2か月を経て
1 大阪市中の島中央公会堂にて10月15日(日)から19日(木)まで、「金谷千慧 …
-
-
こんなときだからこそ 国際女性DAY
コロナウイルスが広まる中で コロナウイルスの拡大で世界は一変してしまいました。1 …
-
-
ブタペストの春
油絵を描き始めて1年経ちました。2年目の第1作は、ハンガリーのブタペストの風景で …
-
-
ポスト・コロナに向けてーリーダーの在り方(リーダーシップ最終稿)
コロナ危機の下でのリーダーシップ 今回がリーダーシップについての最終稿である。 …
-
-
2024年秋、世界は「選挙YEAR」、アメリカ大統領選挙
カマラ・ハリスさん、今度こそガラスの天井を打ち破れ! アメリカ史上初めて、女性で …
-
-
認知症になっても、高齢女性の一人暮らしは可能か(その2)
なぜ日本の女性の地位は世界116位と低いの? ―樋口恵子氏曰く「BBが増えて大変 …
-
-
トランプ大統領就任とアメリカのNPOと女性たち
米ホワイトハウスの執務室で、大統領令に署名したドナルド・トランプ大統領(2025 …
- PREV
- 夢と志をかたちにする女性経営者 キーワードは「メンター」
- NEXT
- 涼風献上