仕事に満足感が高いデンマークの人 先進国北欧諸国その2─デンマーク編
2014/10/23
最近の報道で、メルビン駐日デンマーク大使がエコサイクリングをしている姿に接した方もおありでしょう。コペンハーゲンで12月開催の国連の気候変動枠組み条約(第15回締約国会議:COP15)をアピールするため、全国9カ所でサイクリングツアーをしているのです。
COP15は京都議定書以後の2013年からの地球温暖化対策の枠組みを決める会議で、メルビン大使は「京都議定書の精神をデンマークに」という心意気で、行動しているのです。
本当にコペンハーゲンは自転車が多いです。パパとベビーカーも多いです。そして自転車もベビーカーも地下鉄でもスイスイとそのまま入ります。専用道路の幅も広いのです。エコのため車をやめて自転車にしようというのなら、自転車で走りやすい対策が必要ですね。パパの抱っこベルト、パパとベビーカーが多いのも、北欧の特徴だと思います。
コペンハーゲンで最初に訪問したのは、ウィメンズ・カウンシル(Women’s Council in Denmark)のニールセンさん(Ms.Randi Theil Nielsen)です。
この団体は政府機関だと思っていたのですが、NGOだそうです。
「1980年、コペンハーゲンで行われた『国際女性会議』は私たちにとっても重要なものでした。北欧は5か国揃って『女性差別撤廃条約』を国連に提案し、私たちも”メインストリーム運動”(女性よ、中央へ出よう)を合い言葉に運動を進めました」。その後も北欧としてまとまって会議も続いています。男性とも男女平等についてよく話し合い、男性も育児休暇を取ろうという運動を展開しました。しかし北欧の中ではデンマークは、遅れていますね。ノルウェイやスウェーデンで進んでいるクオータ制(女性やマイノリティを積極的に登用する制度)については、デンマークでは逆差別になるという意見があって未だ取り入れていないのです」と、残念がっておられました。少子化を食い止めようとするなら、
1)まず、社会保障の質を向上させること、
2)それから保育所、
3)働く条件をよくすること、
とおっしゃっていました。
デンマーク人は仕事への満足感は世界で最も高い、といわれていますが、再就職・再挑戦への教育(無料)も充実しています。嫌々仕事するという人は少ないはずです。国の就業支援は整っており、その中のAMUという職業教育プログラムでは12業種、約3千種類のコースが用意され、受講期間は数日~数ヶ月です。このコースは企業などと作成し、雇用主が必要とする技能や知識を習得させ、終了後は即戦力として企業に迎えられやすいのです。
日本のアイヌ語の研究で著名な教授です。
「高校生のとき仏教に興味を持ったのが始まりで、北海道でも東大でもアイヌ語の研究に没頭しました。勿論女性問題、フェミニズムには、人一倍興味を持っています。1980年の国際女性会議(NGO会議)がこの大学で行われたとき、私は参加していました」(私は、思わず「私も参加していたのです」、と)。「そうなんですか。会場でお目にかかっていたかも知れませんね」、とにっこり。
1970年代の北欧のフェミニズムの運動は、かなりのレベルだったので、少々のことでは後戻りはしませんね。政府が平等をつくったのではない、私たちがつくったのだ、という高い認識があります。しかし、私の二人の娘は、同じように平等を目指していますが、セクシュアリティなどの考え方が少し私たちの世代とは違うように感じます。それと労働市場への関心よりも個人の生活を大事にするという傾向があるように思います。この大学で、女性教授は30%、学部長では8人に2人しかいません。
香港大学で日本語で授業をしていたころの学生たちの日本女性に対する反応では、「日本女性は抑圧されている」「とても美しい」「強い人もいるがごく限られた分野である」などが多かったです。私は、日本女性はとても強いとは思います。ただがまんすることに強い(その意味ではデンマーク女性より強いかも)というよりも、もう少し発言することや行動することに強くなったら、もっといいのになーと思います。大学の構内で多くのベビーカーや妊娠中の女性を見かけたそうですが、本当にデンマーク全体でも、大学でも出産は増えています。 今後は中東の女性問題や移民や買売春の問題も含めて世界中でいっしょに関わっていかねばならないでしょうね。(日本語でお話いただきました)
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