ハムシーン(砂嵐)と大雨のカイロ
2014/10/23
カイロ、アレクサンドリア、ルクソールを歩きました。エジプトは砂漠の国。特に4月は雨が全くなく砂嵐(ハムシーン)が視界を遮る季節だというのに、2日間スコールのようなまとまった雨が降りました。傘というものを持たない人たちは、びしょぬれのベールで道路に押し寄せた泥水をかぶってびっくり。これは異常気象かなといっていました。
エジプトがイスラム教徒の支配になったのは、ピラミッドやクレオパトラに代表されるファラオの時代が過ぎて7世紀ぐらいからです。女性のベールもそれ以降の話。ベールはイスラムの地域によってさまざまな呼び方があり、ヒジャーブ、タルハ、マンディール、ミヤーラ、チャドルなど。なかでもアフガニスタンのタリバンが強制したブルカは、他に比べて、全身を纏う極めて特異で非現実的なものです。この延長に女性は教育を受けない、職業を持たない、男性の所有物になるしか生きる道がないという女性の扱われ方が露わになってきます。
ムハンマド氏と医学生の妻
ガイドのムハンマド氏は32歳。敬虔なムスリム男性。名門カイロ大学を卒業後日本に留学し修士号をとる。日本は食べ物も住まいも高いので、様々なアルバイトに明け暮れ、「ここが変だよ、日本人」という番組にレギュラー出演していた。帰国後日本人観光ガイドとして成功している。1日5回のお祈りは欠かさない。レストランに到着するや片隅で「ちょっとお祈りを」、「今からお祈りです」といった調子。街にはコーランの響きが途絶えることがない。彼にはもうすぐ娘が生まれる。名前までもうつけていて「HANAちゃん」。妻は「SALA」。妻はカイロ大学の医学部の5年生。「母親は目だけ残して全てをすっぽりかぶるベールが当たり前でした。でも妻は様々な色のスカーフをおしゃれにつけているという感じです」。「若者は親との同居ではなく二人でと思いますが、とても家は持てません。だから同棲後、親に反対され女性を捨てるとケースも多いのです」。「イラク戦争から、ムスリムの男性には外国への入国がとても厳しく、出稼ぎができなくなりました。若い男性の半分ぐらいは失業しています。こんなに優れた古代文明をもち、こんなにおいしい食べ物があるのに、みんなが貧しいのです」といいながら、とうもろこしジュースをごちそうしてくれた。ホントにスキッとした甘さだった。
イスラムとベール
このベール、ペルシャ語の意味は「カーテン」。男女を隔てるものであり、女性性を隠すものです。ベールをかぶるのは、女性が家の外では自分の魅力(性的)を人に見せるべきではなく、それは家族を大切にすることの表れだと説明されます。この「人」の目というのも、男性の目ということです。これでは男性はありのままの女性を見ないことになります。さらにこの服装でスポーツはまず無理です。スポーツの楽しみを女性は味わえないのです。ベールは古くて、今なお続く女性問題です。
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