ノルウェイ大使館にアニータさんを訪ねて
2014/10/06
東京南麻布のノルウェイ大使館を訪問しました。やっと面会がかなったのです。アニータ・プラタップ(Anita Pratap)さんは有名なジャーナリストですが、ノルウェイ大使夫人でもあるのです。しばらくお待ちすると長身のご本人が現れました。しかし通訳は今日はいないとのこと!私は覚悟を決めてテープレコーダーのスイッチを入れました。

ノルウェイ大使館でアニータ・プラタップ(Anita Pratap)さん
アニータさんはインド国籍をお持ちで、TIME誌やCNN(南アジア支局長)記者で映画制作にも活躍してこられました。スリランカやアフガニスタンの最前線での従軍記者でもありました。ジャーナリストとしていくつもの賞に輝いておられます。彼女の書かれた”Island of Blood”(血潮に染まる島)(2003年PENGUIN USA)はスリランカ、アフガニスタンと他の南アジアの最前線レポートです。アニータさんは80年代から90年代、何度も何度も、正面から取材するための現地へ向かっています。戦争、民族紛争、地震、サイクロンや干ばつ、悲惨な自然環境のもとでの人種差別、性差別、宗教的な差別と思慮のない憎悪と恐れが繰り返される現場を忠実に語られています。(身の毛もよだつ光景にであった。7人若い男性の拷問死体が道路の真ん中投げ出されていた・・・というような調子です。)
いちばん興味のあることから質問することにしました。
Q. アルネ・ロイ・ウォルター(Arne Roy WALTHER)大使とはいつ、どうして知り合われたのですか?
A.私はインド生まれ、インドで教育も受けました。その後ジャーナリストとして仕事をしていたのですが、彼が1995年インド大使(バングラディシュ、ブーアン、ネパール、スリランカ兼轄)として赴任してきたのです。そこで知り合ったのです。
Q.アニータさんは、ノルウェイとインドの両方の文化を理解しておられるのですが、女性の問題や女性が働くことについて比較してどう思われますか?
A.インドとノルウェイを比較して論じるというのはまず無理です。違いすぎます。レベルも、人口規模も違いすぎます。インドは11億でやがて13臆の中国を超えるだろうとも言われています。ノルウェイは500万人ですし、女性の地位ではきわめてレベルが高いのがノルウェイなど北欧諸国です。私はやはりインドを中心にお話を進めていきたいと思います。インドは上層の階層と多くの貧困層とで、まったく違うという特徴があります。でも最近の大きな出来事として、女性議員のクオータ制が上院・下院ともに可決したということは実に大きな出来事です。
:私たちはずっとこの制度を待ちかねていました。やっとインドはクオータ制で、国会・州議会の3割、市町村議会の半数を女性にします。インドは女性のエンパワメントがとても強い国です。
Q.私は国際女性会議(NGO)でインドの『焼かれる花嫁』のスライドを見ました。それから夫が亡くなると妻も一緒に焼かれるというサティなどの話を聞き、とても驚きました。もう法律で禁止されたと聞いていますが今はどうなのでしょうか?
A.インドの法律でサティー(寡婦殉死)は1829年に禁止されたのですが、まだ実際のところは残っています。持参金のダウリ廃止法も1961年法制化されたのですが、実際のところはまだなくなっていないですね。
Q.アニータさんには、日本の女性は どう写っているのですか?
A.日本の女性はポライト(礼儀正しい、上品な)方が多いという印象ですね。
(さらに詳しくは『女性と仕事ジャーナル』19号の誌上で展開します)
注:ノルウェイでは、1988年に「4人以上の構成員からなるすべての審議会・委員会・評議会などは任命・選挙を問わず、一方の性が40%以下となってはいけない」というクオータ制を導入しています。クオータ制は欧州諸国以外にも広がり、すでに南アフリカ共和国などで採用。韓国では2002年度の統一地方選から比例区選挙に導入されました。法制化や政党綱領などで何らかのクオータ制を導入している国は、約100ヵ国となっています。積極的に性差別をなくすために、暫定的にとられる制度です。
関連記事
-
-
授業のはじめに 法女性学と自分の振り返り
日本での女性学の講義のはじまりは1970年代の後半、お茶の水女子大学からだといわ …
-
-
女性や少女が置かれている暴力的な状況(新聞報道より)
1 アフガニスタン女性 アフガニスタンで、売春を拒否した若い女性(20 歳)が夫 …
-
-
女性の、女性による、女性のためのNPOの可能性
出版を記念したセミナーで「女性NPOの未来」について、講師をしました。 2019 …
-
-
10月は3枚描きました
10月は3枚描きました。 1.「ミニバラを持つ女性」 6号 課題は全身ヌードだっ …
-
-
NGOフォーラム開会基調講演 AUNG SAN SUU KYIノーベル平和賞受賞者 1995年8月31日 世界女性会議NGOフォーラムにビデオ出演
宮城 正枝訳 この地球上、最大の女性たちの集い (少数の勇敢な男性も)であるこの …
-
-
若者のニューヨーク1950~60年代から
英字新聞2009Jan.11thと2010.Heb.7 thから、『ライ麦畑でつ …
-
-
ノートルダム寺院がなくなった!
パリのセーヌ川沿いのノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dam …
-
-
「炎の画家三岸節子」・・・「女の描く絵」からどう飛躍したのか
吉武輝子著「炎の画家三岸節子」(文芸春秋社)を読み終えました(前回紹介した本です …
-
-
夫の死にあたふた(1~3)補足1 理性が導くところなれば、どこへなりとも 参りましょうぞ 菩提樹一葉
夫は語学には長けた人でした。英語との最初の関わりはカソリック系の中学校でシャ …
-
-
この秋、投票に行こう!―女性に光が当たる政治へ
職を奪われる女性たち 新型コロナウイルス禍は、女性により深刻な影響を及ぼしている …