中欧の旅 ① ウィーンの暑さと世紀末の輝き

      2014/10/23

今回の旅の目的は、めずらしく組み込まれていたアウシュビッツにいくことと、もう一つは2009年4月5日オバマ大統領が核軍縮演説をしたチェコ共和国、プラハ、フラッチャニ広場から世界一美しいとされるプラハの街を見て感動し、そこで、再度、油絵を描きたいと決意したいという二つだった。エジプトのカイロでトランジット、ウィーン(オーストリア)へ着いた。女帝マリアテレジアと輝ける芸術の都ウィーンなどという感覚に浸るなどとはほど遠く、ただただ暑くて、暑くてびっくり、うんざり。ヨーロッパの熱波は聞いてはいたが37度とか。それに従来クーラーなど要らなかった地では、ホテルもレストランも扇風機さえない。紫外線のきつい熱線で焦げるようだ。気候変動はもう確実なのだ。

オーストリアはハプスブルグ家とともに発展した。この家系は、たくみな政治手腕と婚姻政策によって、神聖ローマ皇帝の地位を世襲するまでになり、日の沈まない帝国といわれた世界帝国建設に成功した。特にマリアテレジア(神聖ローマ皇后・オーストリア女大公・ハンガリー女王・ボヘミア女王)は、学校教育の整備や軍備改革などで政治改革をし、16人の子をなし、娘たちを政略結婚で国を拡大し、優美な文化を華ひらかせた。私の敬愛する与謝野晶子も12人の子どもを持ったが、晶子がオーストリア(イギリス・ベルギー、ドイツ・オランダと合わせて)を訪問したのは1912年のことであった。最盛期を経たオーストリアであったが、晶子は何を感じたのか、衝撃は想像を遙かに超えるほど大きかったことだろう。帰国後晶子は、芸術や文化ではなく、政治や社会問題、女性が職業を持って自立する課題を書くようになった。本物の社会評論家になっていった。

ウィーンの名物はなんといってもコーヒーとケーキ。コーヒーはオスマン・トルコ軍が持ち込んだとか。しかし、ケーキはハプスブルグカ家の歴代皇帝たちの遺産である。食事の後にはものすごくでっかいケーキが出る。しかし、今回の食事には、前回(2006年)時のようなサイズではなかった。日本人観光客向きに量を減らしたとしか思えない。コーヒーとケーキとモーツァルトやヴェートヴェン、ハイドン、ブラームス、シューベルト、ヨハン・シュトラウス(二代)、マーラーなどの楽聖たちの活躍。そして、ウィーンが世界に誇る輝かしい絵画では、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレ、アルフォンム・ミュシャ(出身ははチェコ)たちがいる。世紀末、アール・ヌーヴォーの花が大きく咲いた地である。

マリアテレジアの家族:シェーンブルン宮殿にて

マリアテレジアの家族:シェーンブルン宮殿にて

マリア・テレジアは1740年から1760年までに16人出産、内3人を1754年までに亡くしている。1754年の上の絵には12人が描かれている。アントワネットは誕生していないので描かれていない。

デパートのピンクリボン

デパートのピンクリボン

マジョリカハウス 壁面の装飾は赤いバラの木。マジョリカ焼きのタイルを使用

マジョリカハウス 壁面の装飾は赤いバラの木。マジョリカ焼きのタイルを使用

19世紀末アール・ヌーヴォーの影響は建築にも。マジョリカハウスはその代表オットー・ワーグナー(1841-1918)の作品。アパートは現在も使われている。

(時差ぼけなのか、27日深夜NHKBSで映画「枢機卿」:1962年アメリカ作品を見た。
オーストリアで、ヒットラーがカソリックをも殺戮の対象にしていく過程が描かれていた。カソリックの理想を追う、しかし優柔不断な青年司祭が、妹の妊娠・死(中絶は悪)、人種差別やナチズムに反発といった過程を経て枢機卿になり、渡米するまでを描く。傍観者としてのアメリカの立場が鮮明に見える。教会は「ヒットラーも同民族だから、我々は大丈夫」と甘く信じていたのだ。)

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