フェミニズムとわたしと油絵(2013~2023)(その8)

   

―「フェミニズム・アクティビスト金谷千慧子のプロフィール」その2

整形外科病棟を退院後2か月、無事体調はよくなっています。しかし、まだ自分の足を重く感じて歩きにくいです。犬の散歩はまだお手伝いしてもらっています。入院中は出版用の原稿を修正していました。筆者紹介という文章も書きましたが、その続きに「フェミニズム・アクティビスト金谷千慧子のプロフィール」というのをつけ足そうと思い、以下の文章を書きました。出版より先になりますが、ブログで紹介させていただきます。今回はその2です。

フェミニズム・アクティビスト金谷千慧子のプロフィール
5 彼と知り合ったのは「学生演劇」
女子学生が必要だからといって駆り出されたのはロシア語の語劇祭でした。懇親会から始まり練習期間は1か月以上ありました。演劇は恋を育てる適切な場だと思います。自分以外の役を生きるのが演劇ですから、現実を容易に飛び越え、仮想の世界に飛び込みやすい素地があります。事実、本番の日には私はもう彼の姿をずっと追い求めていました。新しい何かが始まる気配でした。幕が下りて、その後彼は「僕を、信じて!」と私の手を握り締めました。その手の力強くて熱かったこと。その後、彼はロシア語の翻訳や評論を仕事にしようとしていたのを変更、弁護士の道を選びました。弁護士も社会変革の道だし、何よりも生活を安定させるためにと。
私も勉強することにしました。もっともっと恋も勉強も高みへと決意しました。彼は京都大学法学部へ、私は大阪市立大学法学部へ学士入学。私は、法律と女性の地位の向上のあたりを仕事にしようと大雑把に考え始めました。結婚したのは彼が司法試験合格後、知り合って7年後のことでした。しかし姓を変えるはやはり抵抗感がありました。私は大学院生の名刺を表札替わりに貼りました。
彼はロシア哲学を、文学を、音楽を、レーニンをもこよなく愛していました。今のプーチン政権のウクライナ侵攻という蛮行を知ったら、どんなにがっかりするだろうかと思うと知らずに亡くなった(2021年5月)のはよかったのかなと思います。
6 会費制の披露宴と家事分担を宣誓した誓いの言葉
バレンタインデイといわれる2月14日が彼の誕生日でした。学年末の試験も大体終わっている頃なので、この日に中華料理店で会費制の披露宴をすることにしました。誓いの言葉は「憲法24条(婚姻の自由)」を2人で読むことと、家事労働の分担を宣誓することにしました。我々にとって家事分担はその後も争いの種でしたが、参列者の前で宣誓するのに、最も相応しいテーマでした。「掃除と洗濯は夫が、食事は妻が」という内容で、「これに違反して2人が分かれるに至った場合には、家の保証金は妻(2):夫(1)に分けるわけること」というものでした。会場は大笑いしていましたが、私たちは真剣そのものでした。結婚と同時に家事が女性にふりかかるという発想を持っていなかった私は、「こんなはずではなった」「私はそんな約束をしていない」という思いで、闘いに挑むという出発でした。最初に出版の形でまとめようと思ったのも「主婦の家事労働論」で竹中恵美子編(現代女子労働論創元社)でした。その後は女性と労働についての様々な課題をまとめては出版を繰り返していきました。
家事分担の果てしない闘いのほかに、いずれ子どもを持ったときに、預けるところがなくて仕事を辞めなくてはならないことがないようにと、無認可共同保育所作りにも積極的に参加しました。結果的にわが児に保育所が間に合いました。運営の責任ものしかかってきました。
7 世界へ飛び出していった私
彼の全身全霊の応援を得て私は浮上し始めました。世界へも飛び出しました。なんといっても「国連女性の十年」(1975~85)で世界中の女性たちの集まりに「国際女性会議」に3度(コペンハーゲン、ナイロビ、北京)参加できたのは、フェミニストとしての成長を確実にしました。海外への出発は新幹線に乗るのと変わりない感覚になり毎年、女性問題の海外視察を繰り返しました。世界中の女性が幸せにならないと女性問題は解決しないのは明白でした。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」です。私は一生女性の解放に力を尽くそうと決意していました。自分の子どものために無認可共同保育所を作りとその運営、公立保育所のお迎えの時間の延長、給食の充実、保育行事への父母の参加、学童保育づくりなど、働く環境づくりは次々と改善の方向へ向かいましたが、肝心の仕事として女性の解放をどう実践するかについては見通しがなかなか立ちませんでした。子育て中の司法試験は失敗ばかり、大学への就職は男性院生優先、非常勤講師もなかなかという現状。温かい巣から出始めようとすると、家庭内の抵抗はやはりそれなりに出てきます。
8 そうだ、「NPO」になろうと決めた
アメリカでは非営利のNPOが、社会で大きな役割を持って活動しています。
立ち上がった民主党政権(2009年9月)は「新しい公共」政策として、地域住
民やNPOが主体となり公共サービスを提供する政策を大々的にうち出しました。
そういえば今までやってきた「金谷研究室(調査研究)」や「主婦の再就職セ
ンター」「女性と仕事研究所」は全部NPO活動だったのだと納得。よし、NPO
を仕事にしようと明確に決めました。
1998年NPO法が成立しました。東京と大阪に事務所を持ち、全国展開のNPO活動を始めました。国際的な活動にも。5つの大学の女性学の授業を同時にこなし、飛行機で東京・大阪を通勤。東京にも住居を持ちました。講演活動も年間100回を超えていました。フル回転。アメリカでは非営利の活動団体が社会の大きな位置占め、重要な役割を果たしている、日本もそうなってほしい。日本もやがてそうなるだろう、女性の活躍や男女平等も努力次第で実現できるかもしれないと使命感を持って動き出しました。仲間も次々と集まってきてくれました。NPOの職場は男女平等を作りやすい下地があります。女性が仕事で能力を発揮できるようにというミッションを持ち、収益活動をするということでは企業とよく似た活動をする事業型NPOでした。P・Fドラッカーもそういっています。(『非営利組織の経営』 1990年、『ネクスト・ソサイエティ』(2002年)。自称フェミニズム・アクティビストは大活躍でした。24時間、365日、動いていました。NPO組織の世代交代は常に検討していました。
9「フェミニスト」、「アート」に心動く
例年のごとく海外視察。チェコのプラハの街並みを前に戦慄が走りました。なんて美しい!私の好きなワインカラーの屋根が軒を連ねる。悠々と流れるビルタバ河。千年の歴史を持つ争いの絶えなかった街。歴代のすべての建築様式がそろう街。神聖ローマ帝国首都だった街。よくもこの美しい街並みを私たちの世代に残してくれたものだ。残すための努力はいかほどだっただろうかと感嘆のため息も出ました。
そしてこの美しいものを見た喜びを私も共有したい。絵に描かきたいと切に思いました。高校生の頃見たゴッホ展の「糸杉」がよみがえってきました。血が沸きたぎってくるという感じです 。
そういえば、と思い返してみると、能力開発の職業適性テストを私も何度もやってみたのですが、適正な職業には何度やっても「経営者」と「アーティスと」と出てきていたのです。おかしいな、「研究者」になぜならないのだろうと思いながらも「アーティスト」は納得していていました。やっぱり私は「絵を描きたい!」と実感しました。
オフィスのすぐ近くの朝日カルチャーセンターの油絵教室を訪ねました。まだ仕事はリタイアしていなかったけど、週1通い始めました。油絵再スタート!です。始めると、フェミニストとしてはいろいろぶつかるところはありましたが、絵を描くことはますます楽しくなりました。それが2013年春のことでした。そして今年2023年、10年を経ちました。そして今この10年を少し振り返ることにしました。描き尽したキャンパスは300枚ぐらいになりました。
2014年春、無事次世代にNPOを継承し、私は約40年の仕事人生を終えるこ変わりません。とができました。NPOの繁栄と女性の人生が豊かであれとと願うのは、ずっと人生の最後まで「フェミニズム・アクティビスト」として活動し続けたいのです。
10 最高の喜び
2023年10月15日から19日(木)、大阪市中央公会堂で、金谷千慧子のフェミニズム絵画展を開催することになりました。うれしい!一緒に走ってきた恩師や仲間と会えること、そりゃー、最高の喜びです。

プラハの街

女流画家協会展入選(第76回2022年度)F 50

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