「働くことと」とジェンダー(ビジネスの変容とキャリアの創造) 出版しました

      2014/10/23

出版しました。4月の授業(法性学)に合わせて一冊書きました。タイトルは「働くことと」とジェンダー(ビジネスの変容とキャリアの創造) 明石書店)です。

 「働くことと」とジェンダー(ビジネスの変容とキャリアの創造) 目次

第1部 「働くこと」の歴史的位置づけ
1. 働くこととジェンダー 「わたし」の自信をつくるのは「仕事」
2. 日本の女性と仕事の変遷- 女はいつも働き者だった
3. 宗教と女性が働くこと - ベールと仕事
4. 男女雇用機会均等法以降-まっとうに働きたい
5. 女性と職業教育- 自立と平等のためのキャリア教育
6. 世界の男女平等施策 -女性差別撤廃条約を礎に

第2部 「働くこと」の選択肢
7. 雇用労働とペイ・エクイティー -リーダーシップの未来8. 経営とジェンダー CSR(企業の社会的責任)や企業の評価
9. 日本の女性経営者
10. 女性と起業ー 中小企業や社会的企業家の役割
11. パートタイム労働 - 均等待遇原則を
12.  派遣労働の問題 ー「労働は商品ではない」ILOフィラデルフィア宣言(1944)
13. NPOで働く-新しい時代を築く専門家集団

第3部 「働くこと」と家族やセクシュアリティ
14.  女性が働くことと家族の多様性-子どもも家庭も
15.  仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・ランス)-ケアレスマンではなく
16. セクシァル・ハラスメント- パワハラスメント
17. セクシャル・ライツ ―セクシャリティと 女性の人権
18. シングルマザーを生きる-女性と貧困

第4部 「働くこと」への挑戦!
19. 「働くこと」は生きることーディーセントワーク
(働きがいのある人間らしい仕事)探る

発刊に寄せて─21世紀を生きる若い世代へ
竹中恵美子  大阪市立大学名誉教授

大阪市立大学名誉教授私が大学に職を得て労働問題研究に入ったのは、1952年(昭和27)のことでした。
以来 大阪市立大学経済学部で41年間、その後花園大学・龍谷大学を経て、半世紀の教職の歴史を終えました。
その後大阪府立女性総合センター(ドーンセンター現:男女共同参画・青少年ンセンター)の館長を務めましたが、その全期を通じて多くの女性グループや労働組合の人たちとも一緒に仕事をしてきました。

それは自分の研究が空理空論に陥らないためには、つねに生きた現実から学ぶことが、何より大切だと考えたからです。
いつの間にか私自身、大学の内外で男女平等をめざす次の世代の女性たちを支える立場になっていました。
金谷千慧子さんもその一人です。彼女との最初の出会いは法学部の単位互換の院生だったと思うのですが、その後、改めて50歳以上の社会人大学院生として、ゼミ生たちと3年間学ばれました。社会人として一番時間の限られた中でのがんばりは、わたしの強い印象に残っています。その時も株式会社やNPO活動を全部続けながらの通学でした。私などの学究生活とは少し分野は違うのですが、新しいことを発想し、それの実現に向けて着実に行動していくその力は尊敬に値します。今取り組まれている社会人女性やキャリア養成のための「コミュニティ・カレッジ」の構想や、ご自身の主宰する『女性と仕事研究所』の軌跡が、何よりもそれを物語っています。
男女雇用平等を求める歴史の中で、変化の分水嶺は1980年だといえるでしょう。「女性差別撤廃条約」が国連で採択されたのが79年、発効は81年です。80年を境に性差別解消の基本的課題が、性別分業の社会システムそれ自体の解体におかれることになったのです。
国連の政策もほぼ80年を前後に明らかに変化します。
性別役割分業を撤廃するとは、家族責任を男女でシェア―するということです。しかし残念ながら日本においては1980年を画期とした世界の流れとはむしろ逆のベクトルを選択し、「夫稼ぎ手モデル」の解体というよりは、その維持・強化に向かったといえます。
その後転換がはじまるのは、99年6月の「男女共同参画社会基本法」成立以降であり、ここでようやく男女平等の基本理念が「女性差別撤廃条約」にマッチするものとして確立されるにいたったのです。
その意味では日本は21世紀直前になって初めて、世界の流れに合流するスタート・ラインに立つことになったといえるでしょう。
今後の方向性としては、労働問題をジェンダーの視点から捉え直すことです。それは市場だけではなく、非市場領域における膨大なアンペイド・ワークを視野におさめ、それを男女がフェアーに担っていくための理論体系をつくること、そして、政策として具体化することです。それは決して女性のためだけの理論ではなく、21世紀における男女にとって、人間として尊厳ある生き方(働き方)がいかに可能かを探ることなのです。
その意味で、いまは変革期に他なりません。変革期とは、規制の社会通念が揺らぐなかで、現実との間に様々な矛盾が噴き出し、既存の社会システムそのものがつくり変えられる時代だといえます。私は金谷千慧子さんとほぼ同時代を生きてきましたが、実践的研究者を自認する著者による本書は、多くのさらに後に続く人たちへ勇気と知見を与えることでしょう。

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 - メディア掲載

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