キャリアをデザインする─「フレンテみえ」Web限定 男女共同参画ゼミ<第3回>
■キャリアをデザインする 女性とキャリアをつなぐもの| 三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」
三重県男女共同参画センターのウェブサイト「フレンテみえ」のWeb限定 男女共同参画ゼミで掲載した「キャリアをデザインする 女性とキャリアをつなぐもの」(全3回)の第3回目です。
第1回目の記事
第2回目の記事
第3回 キャリアプランを描く
1 アサーティブ(積極的自己主張)、しましょ
第1回で人生の変化に応じて、キャリアをデザインするには、自分のキャリアをマネジメントする力が必要です、と書きました。それが「自分を活きる」ことで養われます(もう一度ワークシートを)。ともすると女性は、結婚や出産・子育てなどでは、自分のことを後回しにして、相手の、家族の都合を優先しがちです。このように自分を主張しないことを「女性の優しさ」という人もいますが、私は違うと思っています。「優しさ」というのは、自立や強さに裏づけられているものです。「優しさ」は逃げずに責任をとる自信のある人、苦境を積極的に切りひらいていく勇気のある人が持つ寛容や柔軟性なのだと思います。ところで、自分をうまく主張するには、トレーニングが要るのです。対話の中で、あるいは多くの人の前で、自分の言いたいことを相手に不快な思いをさせずに、納得してもらうトレーニングです。じつはこのスキルってキャリアを築くのに最も有効だといえます。「伝えたいことがうまく伝わらない」「まわりくどい言い方をしてしまう」「相手を傷つけないかと思って言い出せない」「ときどき爆発する」などの経験はありませんか。こんな状況を解決するのがアサーティブなのです。一度チャンスがあればトレーニングを受けてみてください。ここでは、最後にやっていただくアクションプランを誰かに伝える場面を作って、そのときに次の3つの点に気をつけながら自己主張してみてください。3つとは、以下です。
- 自分の意見を率直に、正直に伝える覚悟をする、回りくどくならない
(婉曲的にならずに) - 相手の気持ちに配慮してから、言いたいことを感情的にならずに、客観的に柔らかい声で
(アサーティブに) - 自分の言い分を相手に押しつけたり、相手を軽視(又は無視)しない
(攻撃的にならずに)
このような「婉曲的でもない」「攻撃的でもない」表現をアサーティブな自己主張と言います。
2.キャリアプランの作成
キャリアプランは人生の地図です。まずは将来「こうなりたい」とか希望や理想のキャリア像を文字で書き出してみるのです。次にこれまでの経験をもとに、理想に向かってどのように目標に具体化していくかを考え、5年後、10年後を見据えて計画を立てるのです。これを「キャリアプランを作成する」といいます。目標となる人を思い浮かべるのもいいでしょう。
その上で、過去の経験を書き出し、自分の価値観や興味、能力などを再確認し、自己分析を深め、現在の自分のスキルやキャリアを整理します。次に、「1年後、3年後、自分はどうなっていたいか」を考え、書き出します。最後に、○○年後の自分になるために必要な「具体的な行動計画(アクションプラン)」を立てます。過去の経験を整理し、自己分析を深める作業は、非常に時間がかかるものです。一度、指導者とともに進めるのもいいと思います。キャリアプランシートなどを活用して、じっくりと人生設計を考える時間をとることが大事です。キャリアプランを構築する上でライフプランは非常に重要な要素ですから、結婚や出産のこと、転職や収入の見込みなども検討事項に入れましょう。
3.キャリアプランの作成の手順
(1)目標は何ですか
まずは目標です。大きな人生の目標です。将来についてじっくり考えてみましょう。「まだ決まらないワ」とか「彼しだい」というより、「今決められること」を選択しましょう。長期的な成功を目指すのです。それを忘れないでください。やる気を持続して、目標をしっかりと見据え、それらを書き出すことです。
(2) 計画どおりに物事を進める方法
目標を書き出すことは、達成への第一歩です。キャリアの成功を単に夢見て終わる人と実現できる人との違いは、ゴールまでの道のりを具体的に書面化できるか否かに尽きます。キャリアプランの最初の欄に、短期、中期、長期の目標を書き出します。次の欄には、それぞれの目標を達成するために身につけるべきスキルや資質を書き出します。そして、目標の到達に必要となる研修やサポートを書き出しましょう。そして各目標の達成予定日を書き込むことが重要です。
(3)キャリアプラン実施にあたって
- ときどき自分をほめてあげましょう
キャリアプランを遂行する中で、ちょっとした成功には自分をほめてあげてください。モチベーションをより高く維持できることが分かるでしょう。 - 定期的に目標を再評価し柔軟性を持ちましょう
人生何が起きるか、誰にも分かりません。だからキャリアプランに書き出した目標が、自分にとってなにか違和感があるときには、再確認しましょう。以前に立てた目標に対して意欲を感じられなくなっているなら、今やる気になる目標とは何かを考えましょう。
4.アクションプランを宣言する(*アクションプランのワークシート)
目標を定めたら、現状と目標とのギャップを埋める努力をします。その努力目標がアクションプランです。その努力をコツコツと積み重ねれば、目標は近づいてきます。アクションプランは、より身近で頻繁に眼を通し、生活と一体化しているものでしょう。キャリアプランもアクションプランも折に触れ、修正しながら、しかし、いつでも上昇方向に向かって、自信を持って努力を重ねてください。きっといい人生が待っていますよ。(今回はキャリアプラン作成のワークシートは省きました)
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