キャリアをデザインする─「フレンテみえ」Web限定 男女共同参画ゼミ<第1回>

   

三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」のWeb限定 男女共同参画ゼミで「キャリアをデザインする 女性とキャリアをつなぐもの」というタイトルで連載しています。このブログでも掲載します。

キャリアをデザインする 女性とキャリアをつなぐもの| 三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」
http://www.center-mie.or.jp/frente/data/zemi/topic/65

第1回 学生とキャリアデザイン

今ではどの大学にもキャリアセンターがあって(それもよく目立つところに)、学生は頻繁に出入りしています。就職活動に大切な支援組織だと認識していますし、キャリアという言葉にも充分なじみを持っています。

ただキャリアは「就活」が近づいたら考えればいいのだ。そのとき就職のノウハウ、たとえばエントリーシートの書き方、面接のノウハウを手に入れれば、「人生楽勝!」と考えていると、学生時代に得るべき最も大事なことが抜けてしまいます。キャリアカウンセリングでは「自分がなにをしたいのかわからないのです。親は公務員をというのですが」で、始まることがとても多いのです。「入学前に将来の職業や業種を考えていましたか」ときくと、女子男子ともに4分の1程度は「決めていた」といいます。しかし約6割は「就活で」といいます。なんとなく「決まった会社で落ち着くはずだ」というところかもしれません。しかし、自分のキャリアを考えることを後回しにしていると、自分の興味や世界観、価値観と仕事のかかわりや自分のライフプランを考慮しながら、キャリアとつなげる習慣を持つことが困難になってしまいます。もはや間に合わなくなりますよ。もったいないことです。だからここでキャリアについて少し考えてみましょう。

1. キャリア(Career)とは

キャリアという言葉が日本で急速に広まったのは、1990年代初頭だといわれています。それ以前にも存在していましたが、「キャリア組」「キャリア官僚」などと使われることが多く、上級公務員など限定された人にしか関係のない言葉でした。当時のわが国には、すべての人々の人生と職業をつなぐキャリアという用語に相当する捉え方や概念はなかったのです。キャリアというこの表現は、1970年代のアメリカのキャリア教育運動の流れを汲むものです。それ以降、アメリカをはじめ先進諸国では、すべての初等教育から中等教育、高等教育にいたるまでキャリア教育が行き渡っていきました。女性も結婚・出産でそれっきり仕事をしない、専業主婦(House wife)といわれる女性たちは、もうずいぶん昔から見当たらなくなっています。

2. 女性とキャリア

わが国においても今では、「結婚か仕事か」という切断された人生ではなく、「仕事も子どもも」と積み上げていく人生にこそ,幸福度は大きく豊かになるということを女性たちは知っています。自分の母親の時代とは別のかたちの幸せをつかみ取る時代になっているのです。

キャリアは連続する体験のつながりであり、結婚や転居、転職、NPOなどの活動とも混じり合っています。女性に限定していえば、女性には何度も転機が訪れます。その数だけ、人生とキャリアのつながりを真剣に考えねばならない時期があるのです。そのときのために、一本「すじ」を通して、キャリアを見つめる習慣を持つことが重要になります。一本の「すじ」をもう少し具体的にいうとキャリアをマネジメントする力という方が適切かも知れません。

3. キャリアをデザインする

人の生活模様は若年期、壮年期、熟年期、高齢期(前期・後期)と変化します。この変化をライフサイクルと呼びます。近年の少子化、長寿化、高学歴化などは、男性よりも女性のライフサイクルの変化に大きく現れています。少子で子育て期が短くなり、平均寿命が延びれば、おのずと職業生活の比重が高くなります。結婚や出産に関わらず職業を継続したいと考える比率が増加することになります。半世紀前では、日本人の平均寿命は平均50年でした。戦後70年を経て現在の平均寿命は80歳を超えました(女性86.61歳・男性80.21歳:2014年度)。この寿命の伸張が、精神的・身体的、経済的にストレスフルな重圧にならないように、幸福感・充実感がさらに増すように、ライフサイクルの変化に伴って、キャリアをデザインできるようになりたいものです。産業構造や自然環境の変化が逆にライフサイクルに影響を与えますので、それも充分考慮しましょう。

4. キャリアをマネジメントするには、『自分を活きる女性になる』

ライフスタイルの変化に際して、その都度、真剣にキャリアをデザインするには、自分のキャリアをマネジメントする力を身につけねばならないのです。女性の場合は、ともするとキャリアが一続きにつながらない背景に「ジェンダー」の壁があります。結婚や出産では女性の方に退職を余儀なくされる社会背景があり、女性の側もその方が幸せに繋がると、仕事を辞めてきました。現在も女性は第一子出産で7割近くが仕事をやめます。女性は仕事を持つことで,女性の役割とされてきた妻や母親としての役割を充分果たせないのではないかと、躊躇してしまうのです。日本の場合、自分自身のために職業を選ぶのではなく、自分自身の生活を充実させる生き方を後回しにし、性別による役割分業を生きることを奨励してきた伝統が長かったために、今でもその残像が生き残っています。だから、改めて自分のキャリアをマネジメントする力をつけて、キャリアをデザインするには、自分の欲望・要求を自分に受け入れ、自分が社会的に生きることから逃げずに立ち向かう勇気が必要なのです。それが「自分を活きる」ということです。「自分を活きる」ことから、キャリアをマネジメントする力が沸いてきます。次のワークシートをやってみてください。

あなたの一本「すじ」はどうでしたか。もちろん全項目に○がついたことでしょう。

項目  ○印
 1  自分を活きる女性は、自分の要求を追求する
 2  自分を活きる女性は、自分が何になりたいか自分で決める
 3  自分を活きる女性は、自分を成長させ続ける
 4  自分を活きる女性は、逃げずに対決する
 5  自分を活きる女性は、与えられるのではなく、自分で手に入れる
 6  自分を活きる女性は、自分の足で立ち、自分の立場を主張する
 7  自分を活きる女性は、仕事上での失敗も成功も、他人や状況のせいだと責任を転嫁せず、距離を置いて客観的に見ようとする
 8  自分を活きる女性は、一個人の可能性を仕事を通して
積極的に切りひらいていく
 9  自分を活きる女性は、ポジティブシンキングを身につけている
10  自分を活きる女性は、「適職」にこだわる

 - メディア掲載, 女性と仕事

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