コロナ禍のリーダーシップ(その1 リーダーの資質)
今日も東京462人、大阪225人、沖縄は100人のコロナ感染者が出たと報道されています。政府高官は「緊急事態宣言を出すほどではない」と今日も言っています。もう慣れっこになってしまっているのでしょうか。どれだけ増えても高齢者が少々死亡するだけだからと「たか」をくくっているのでしょうか。しかし国民の不安を放置したままにしておくのは、人々の不安をくすぐり、政治につけ込む悪魔的要素(ポピュリズム・権威主義、独裁主義)を増幅することになるのではないかと心配です。日本の政治は今、危機的状態だと感じています。何よりも国民の生活実態(不安や日常生活)が視野に入っていないこと、コロナに対する戦略がないこと、やることなすことが場当たり的、誰かの思い付きで国民の税金が無益に、無駄に使われていること、行動・実践しないこと、そして何よりもリーダーシップがないことです。
リーダーの資質
リーダーには大きな歴史観と人類という枠で考える心構えがまず必要です。私心は捨てねばなりません。しかし自分をさらけ出さねばなりません。正しいことのためには命を懸けねばなりません(決して大げさではなく)。信念をもって決断しなければなりません。ブレては、いけません。人間的温かさを持ち、人を見下してはなりません。そのためにいつも心を遊ばさず勉強をし続けることです。
そこで、最近評判になっているコロナ禍での世界の女性リーダーたちの活躍に注目してみようと思います。
時期的に最初は台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統のリーダーシップぶりです。彼女は世界で最も早く、2019年12月に中国でウイルスが広まっていることを知った時点で検査や対策を実行し、さらに欧米に1000万枚のマスクを提供しました。日本にも200万枚のマスクが届けられたとのこと、その行動には思いやりがあります。
女性リーダーの国、アイスランド、台湾、ドイツ、ニュージーランド、フィンランド、デンマークでは、コロナの危機の中でリーダーシップを発揮し、世界の模範となっています。これらの女性リーダーたちはパンデミックのなか、その冷静な判断力や緻密で大胆な行動力には高い評価が上がっています。これまでの男性リーダーとどこが違うのかを学ぶべきだと考えられます。
特にドイツのアンジェラ・メルケル首相の演説には世界的に人々の心を揺さぶられました。私もこんな風に呼びかけてもらいたいなーと思いました。リーダーの寄り添う力があふれていると感じました。
メルケル首相の寄り添う力
Photo by Tobias Koch Some Rights Reserved.
メルケル首相は3月18日、新型コロナウイルス感染症対策に関し、テレビ演説を通して次のように呼びかけました。https://japan.diplo.de/ja-ja/themen/politik/-/2331262 「・・・事態は深刻です。皆さんも深刻に捉えていただきたい。ドイツ統一、いや、第二次 世界大戦以来、我が国における社会全体の結束した行動が、ここまで試された試練はありませんでした。・・・」
そして最後に「現状は深刻ですが、この先はいろいろな展開があり得ます。ということは、一人ひとりがどれだけ自制してルールを守り、実行するかが、全てではないにせよ、今後の展開を決める一つの要素なのです。
かつて経験したことのない事態ではありますが、私たちは、思いやりと理性を持って行動し、命を救っていくことを示していかなければなりません。例外なく全ての人、私たち一人ひとりが試されているのです」。
メルケル首相の人々に寄り添う力が世界中で感激の涙を止まらなくしたのでした。そしてドイツは欧州でもっともコロナ死の少ない国として対策に成功した国となっています。それは、対応策を決めるにあたり女性リーダーのほうが「命を守ることが最優先」という優先順位付けが明確だからではないでしょうか。「おカネがなければ生きていけない」と、経済活動の継続とコロナ感染対応を「両立」させようとするのではなく、「命あってこそのおカネ」とコロナ感染対応をまずは優先するのです。経済と「いのち」の天秤で迷うことがない。そのお見切りのよさが決断の速さ、行動の徹底につながっていると思います。「いのち」に近いところにいる女性の特徴なのだと思います。コロナ禍のリーダーシップはもう少し連載します。
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