コロナ禍のリーダーシップ (その4 フェミニン・リーダーシップ)
女性リーダーの国は「幸福度」ランキング上位
世界幸福度ランキングとは
世界幸福度ランキングという指標があります。これは毎年3月20日を「国際幸福デーと定め、国連の「持続可能開発ソリューションネットワーク」が世界の幸福度ランキングを発表しているのです。このランキングは世界各国で実施される世論調査をもとに、各国国民の幸福度に関する主観的な意識を分析したものです。自分の幸福度が0から10の10段階で自己評価した主観の平均に「一人当たりGDP」「健康的な平均寿命」「困ったときに助けてくれる友達・親族はいるか(寛容度)」「人生で何をするか選択の自由があるか」の回答に加えて、「GDPにおける寄付実施者の度合い」「政府機関に腐敗は萬栄しているか」「昨日楽しかったかどうかの自己認知の度合い」「昨日楽しくなかったかどうかの自己認知の度合い」の説明変数で分析したものです。(参考World Happiness Report 2020)
これは2012年に始まり(2012~14年は公表されず)、今年2020年が7回目になります。153カ国・地域が対象となりました。1~3位は昨年に続き、フィンランド、デンマーク、スイス、4位アイスランド、5位ノルウェーと北欧諸国が続きました。ニュージーランド8位、ドイツ17位です。アジアでは台湾が25位、韓国が54位で日本を上回り、中国は94位で、最下位はアフガニスタンでした。 日本は2018年の54位、2019年の58位からさらに4位後退し、2020年、今年は62位でした。ここでも日本は評価がずり落ちていっています。日本は「健康寿命」で2位にランクインしたものの、「人生の選択の自由度」が64位、「寛容さ度」が92位などと低迷しています。 日本で評価が低いのが「寛容度」と「主観的満足度」です。寛容度は1ヶ月以内に寄付をしたかも設問になっています。主観満足度は、人生楽しいか、辛いかという主観的質問への回答で、日本は、主観レベルの満足感が非常に低いのです。
日本は「寛容度」がない国
日本では「困ったときに助けてくれる友達・親族はいるか(寛容度)」が92位と低いのは、結果責任とか自己責任とかいわれて、孤高の努力が誉められるという文化風土があることや、政府や自治体は頼っても無駄だという実感があること(それなら何のために政治があるのか!)が背景にあるでしょう。
「寛容度とは、ボランティアや慈善活動、NPO活動が身近にあるかという問題でもあります。国民はどの程度ボランティアや慈善活動、NPO活動に参加しているかで変わってきます。
さらに幸福度ランキングの上位に並ぶ北欧では、社会保障がしっかりしているので、老後の不安がないということでは主観的満足感は高くなるでしょうね。
幸福度世界第1位フィンランドの世界一づくし
幸福度世界第1位が続くフィンランドは、世界第1位づくしの国です。まず男女平等世界一(ジェンダー・エンパワーメント指数)、子どもたちの学力世界一」、「携帯電話の普及率が世界一」「コーヒーの消費量世界一」(フィンランド 人にとってのコーヒーと携帯電話と同じようにコミュニケーション・ツールなのでしょう)。それから人口一人あたりのGDP(Gross Domestic Product:GDPの伸び率が経済成長率に値する)も 世界一です。
さらにフィンランドは、世界で最も汚職の少ない国です。税金は高いがそれだけの恩恵を受けているということを国民は充分知っているので、不平不満はいわないし、全ての人が無料で教育を受けることができます。福祉制度も充実し、老後も心配 なく生活ができる国です。政治が汚職と関係ない世界で政治が信頼の中心になっているのです。
さらに、「環境、水のきれいなこと世界一」なのです。政治が環境や水の美しさを守っています。環境ではすべての国民は公私有地を 問わず森の中に入って自然に親しむ権利があり、同時に自然を守る義務があるとされています。2002年度世界経済フォーラムの環境維持可能指数で142カ国中トップにランク。2003年度国連世界水開発レポートでは世界一水がきれいと評価 されました。そして最後にフィンランドは「NPO世界一」の国なのです。
フィンランドは「NPO世界一」
フィンランドでは、市民の5分の4がNPOに参加しており、複数のNPOに所属している人も多いのです。増加傾向はますます大きくなっており、社会の進歩をめざす人々のグループは協会組織を結成し、断酒運動、労働運動、青少年運動、協同組合運動など、様々な目標の実現をめざす活動を当然のことと考え、自分たちの アイデンティティとして活動しています。
(フィンランドを世界一に導いた100の社会改革―フィンランドのソーシャル・イノベーション「公人の友社」2008年9月刊より)
史上最年少34歳 サンナ・マリンフィンランド首相のぶれないコロナ対策
2019年12月13日フィンランドで世界で最も若い女性首相誕生 サンナ・マリン首相
フィンランドの首相は、常に明確に現状と対策を語り、ブレないのです。1日16時間労働で、毎日2回のコロナについてのスピーチで市民の理解を深めたといいいます。「フィンランド政府は市民と共にある」といいつづけました。この危機の時代、信頼できる政治と社会のシステムがあるのは幸せなことです。そしてその対策は、幅広い支持を得て、最小の感染者に押さえています。
女性12人・男性7人、平均年齢47歳という内閣
コロナ禍での世界の女性リーダーたちの活躍が注目されています。そしてまた女性が首長を務める「女性リーダー国家」として名前の挙げられる国のほとんどが、幸福度ランキング上位国であるということです。幸福先進国で女性リーダー比率が高いのです。
- 幸福度第1位「フィンランド(サンナ・マリン首相 34歳)
- 幸福度第2位「デンマーク」(メッテ・フレデリクセン首相42歳)
- 福度第4位「アイスランド」(カトリーン・ヤコブスドッティル首相 44歳)
- 幸福度第5位「ノルウェー」(アンナ・ソールバルグ首相(59歳)
- 幸福度第第8位「ニュージーランド(ジャシンダ・アーダーン首相 39歳)
- 幸福度第第17位「ドイツ」(アンゲラ・メルケル首相65歳)
- 幸福度第第25位 台湾(東アジア1位)(ツァイ・インウェン63歳)
女性のリーダーの持つ優れた能力【ソフトパワー】を活かしましょう
今までは男性的なリーダーシップ(一人のリーダーが大勢を引っ張っていく形)が求められていましたが、これからは横並びの協力を関係を築く力を備えたフェミニン・リーダーシップが求められます。 これはもとより、女性だけが持っているというものではありません。男性にも備わっているものです。全ての人の中に男性性と女性性が存在します。ところが今まではどちらかと言うと、男性性をリーダーの模範として意識した時代でしたが、このコロナ禍を契機に、女性リーダーの描く国での功績を十分認めて、あらゆる国に地域で、女性性を開放させ、男性性と女性性を統合した新たなフェミニン・リーダーシップをできれば女性に発揮してもらいたいものです。 あらゆる個性を持った人々を融合させ、多様性の中に統一をもたらす時代をつくりましょう。
フェミニン・リーダーシップの 時代は、共感力が優れたリーダーを求めているすべての働く女性は、無理矢理自分を男性向けの既存システムに合わせて変形させるのではなく、本来持っている女性の「ソフトパワー」を活用していけばいいだけなのです。
フェミニン・リーダーシップの強み
- 現実と向き合う能力が優れていること
- 人々と共感する能力が優れていること
- 決断する能力に優れていること
- コミュニケーション能力に優れていること
- テクノロジー活用能力に優れていること
- いつくしむ能力に優れていること
以上
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