子どもと女性の貧困─現状と連鎖
2014/10/23
2011年2月13日 CAP広島 冬の勉強会 報告
「子どもと女性の貧困─現状と連鎖」
先生の軽快な関西弁で、勉強会はやんわりとしたムードで始まりました。
『リーマンショック後、メディアでは、派遣切り、年越し村・・・と男性の貧困問題がクローズアップされましたが、男性の貧困が問題にされて始めて女性の貧困の問題や子どもの貧困の問題にもやっと目を向けられるようになりました。実は、女性は昔から貧困だったのです。親と同居の時は父親の収入の影に隠れ、結婚したら夫の収入の影に隠れ、シングルマザーになったとき、または一人暮らしになったとき、初めて貧困がみえるのです。シングルマザーは日本と韓国ではゆるやかに、アメリカと欧米では急速に増加しています。
では、なぜ女性は貧困なのか?国連(1980年)によると、「女性は人口の半分を占めている。女性は男性の2倍以上働いているが給料は男性の半分しかもらえていない。資産に関しては男性の10分の1、富は男性の1000分の1にしかすぎない」としている。
貧困の原因として、男性が家族を養う役割を担い、女性の収入は家計の補助としか扱われず、その為、女性は低地位、低賃金、非正規労働従事者が多く、アンペイドで対価の支払われない家事育児や介護、その他の社会的活動を担い、出産・育児の為に退職してしまうことが原因と考えられる。戦後、第二次産業(重工業)が盛んな時期、男性を長く会社で働かせるため、そういった社会制度を日本は作ってきた。女性は、男性のもとで「娘」→「嫁」→「姑」と変化していく。しかし、おひとりさまになると、貧困になってしまう。貧困のシングルマザーが子育てをする、つまり子どもが貧困に陥ってしまうことになる。
経済大国日本の子どもの貧困率は、OECD加盟国の中でワースト10位です。デンマークでは同一の住所に住む18歳未満の未婚の子どもを含む2世代までの成人が住んでいることを家族の定義とし、婚姻・血縁・性別に関わらず家族とされ、子どもは法律的にも社会的にも保障され、教育費はすべて無料。特に学生のひとり親には一般の学生の2倍の支援金が保障され、低学歴になることを防ぐ措置をしている。女性の貧困が子どもの貧困を生み、そして地域が貧困になっていく・・・連鎖を断ち切るにはどうしたらいいのか?シングルマザーでも安心して子育てできる環境、保育所・学童保育・住宅・相談できる場所の確保や拡充、女性が職業能力を付ける学校(コミュニティーカレッジ)をつくること、女性全体の労働条件の向上が必要だ。同一労働同一賃金、同一価値労働同一賃金、個人単位の年金制度、配偶者控除の撤廃、コミュニティーカレッジ設立、ベーシンクインカム制度など考えていく必要がある。ひとりひとりが動かないといけない。広島では選挙が近いが、一票を投じるだけでなく活動をしなくては変わらない。』と力を込めて話をされました。
参加者は、会員20人、会員外9人と、顔の見えるちょうど良い人数でした。
以下参加者の感想
- 日本の女性のしんどさを知りました。何とか生きやすい日本になるには、何ができるか考えていきたいと思いました。
- 子どもと女性の貧困というイメージが発展途上国のことだと・・・しかし、このように系統的に話していただいたので、日本の現状がよくわかりました。日本もまだまだですね。
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