『クレオパトラとエジプトの王妃展』に行きました
2015/11/12
『クレオパトラとエジプトの王妃展 』
2015年10月10日(土)~ 12月27日(日)
会場: 国立国際美術館
クレオパトラはいつの時代にも人気者です。会場に着くや「名字・お名前の中に「王」「妃」「女」の漢字が含まれる方は、100円割引です」とアナウンスがあったせいでしょうか。心なしか女性客が多かったです。
私はクレオパトラを描いた絵画にも興味がありましたが、なぜ、古代エジプト彫刻は王と王妃だけでなく、夫婦が並んだ立像が多く、それも同じ背丈で、男女平等の姿で描かれているのか不思議だなと思っていました。その答えが何かわかるかなという興味もありました。
会場で『図説古代エジプトの女性たち』(ザヒ・ハワス著/吉村作治・西川厚共訳 / 1998年 / 原書房)を購入しました。
共訳者吉村作治氏は『「歴史の裏に女性あり」などと古来からいわれてきたが、古代エジプトでは、男性は表、女性は裏に分かれることなく一体であったことが、よくおわかりいただけるはずである。古代エジプトにおける王妃は、エジプト全女性の代表である。その証拠に王になるためには男性が例え王の息子であっても、それだけでは王になることはできなかった。王になるためには王位継承権をもっている女性と結婚しなければ、なれなかったのである。本当の意味で男女平等であったといえよう』と書いています。
吉村氏のいう意味で、エジプトの男女の像が男女対等の姿で表現されているのかもしれないです。
しかし王宮にはハーレムがあり、王は多妻が当たり前だったのです。しかし一般的にはたいがいの結婚は一夫一婦だったということです。もし夫に経済力があれば多妻は法律的にも、社会的にも抑制はなかったそうです。女性の方は一人の夫しか持つことを許されなかったし、結婚した女性は、貞節であり、結婚外の交際を持たないことが求められていました。
しかし、夫の方は、死産などが重なったりすると、再婚できたので、配偶者の死後にまた結婚したと墓碑などに書かれているそうです。(『Ⅳ恋愛と結婚 』 p.90~106)
古代エジプトでは夫婦や家族を一緒の像にして副葬することが多かったようです。この家族像も仲睦まじく腕を組む夫婦と男女2人の子どもを表しています。
家長のセネブはいわゆる小人です。しかし、ここではベンチの上であぐらをかいた状態で表現することによって違和感のないほほえましい家族像になっています。子どもたちが右手の人差し指をしゃぶっているのは幼児を表すときの伝統的な表現方法です。
クレオパトラにまつわる絵画は、今回の絵もクレオパトラの白い肌と、自殺するとは思えないような妖艶なしぐさ、単なるエロティックを売り物にしたものでした。エジプト王国が滅亡する最後の女王らしからぬ威厳のなさでした。
『図説 古代エジプトの女性たち―よみがえる沈黙の世界 』
ザヒ・ハワス (著) 吉村 作治 (翻訳) 西川 厚 (翻訳)/原書房
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