待ったなしの年の瀬
気候変動、地球の異変に待ったなし(その1)
大人は子どもたちの未来を奪ってはいけません。これは16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんの言葉です。地球の壊滅を止めるために、待ったなしの年の瀬です。
今日12月25日はクリスマス。しかし日本中、北海道も含めて全く雪はなく、温かい年の瀬です。この分では2020年はさらに暑さ厳しい夏になるのでしょう。そう極暑のオリンピックです。招致に関して、この季節の日本はもっとも過ごしやすいと称して招致活動したそうですが。
気候変動、地球の異変は明らかです。人類が排出してきた温暖化ガスの濃度の上昇が気候変動の原因です。「気候変動の速さと規模によっては、突然のあるいは非可逆的現象が引き起こされる危険がある」と国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の「第4次評価報告書」は、世界中の科学者の知見を結集して、深刻な結論を導き出しました。
日本は今年も洪水や土砂崩れで多くの人命を失い、資源を失い(家屋・田畑・農作物など)、そして今後多くの資金投与を余儀なくされています。今年だけの問題ではもちろんありません。もっともっと厳しい「あした」が待っています。
アメリカの「タイム」誌は、世界に最も影響を与えた「ことしの人」に地球温暖化対策を訴えるスウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんを選びました。グレタ・トゥーンベリさんは、スウェーデン議会の前で、毎週金曜日に学校を休んで温暖化対策を訴え続けました。この「未来のための金曜日」と呼ばれる活動をきっかけに、世界150か国以上で400万人を超える人が参加した温暖化対策を求める過去最大規模のデモが行われました。日本の若者の間でもこの動きに参加する人たちが出てきました。しかし、世界の気候変動に責任ある立場の人はグレタさんに噛み付いています。トランプ氏、プーチン氏、日本の小泉進次郎氏まで。
パリ協定からの離脱を通告した無責任なアメリカのトランプ大統領はツイッターに「ばかげている。グレタは自分の怒りをコントロールする問題に取り組むべきだ。友達といい映画を観にいったほうがいい。落ち着け」と投稿しました。
ロシアのプーチン大統領は「情報に乏しい若者」と一蹴。グレタさんからアマゾンの森林火災を巡って批判されたブラジルのボルソナロ大統領は「こんな“小娘”が言うことをメディアが取り上げるとは」と怒りを露わにしています。日本の小泉進次郎環境相までが、「大人を糾弾するのではなく、全世代を巻き込むようなアプローチを取るべきだ」などと異論を述べています。
恥ずかしげもなく、「よく言えたものだ(How dare you !)」です。
現在、スウェーデン王立アカデミーをはじめ、多くの環境財団がグレタさんを支援しており、資金面でも世界的投資家のジョージ・ソロス氏やマイクロソフト創始者のビル・ゲイツ氏らがサポートしています。
孫の世代のグレタさんに敬意を表するとともに、私たちも具体的に行動しなければほんとに恥ずかしいですね。
• エコバッグを携帯する
• なるべく公共機関を利用する
• 使っていないコンセントを抜こう
• 買い替え時は省エネ製品を選ぼう
• 冷暖房は冷やしすぎ、暖めすぎ、つけっ放しをさけよう
• 太陽光発電などの導入を検討してみよう
• 原発反対を明確にしよう
人口減少に歯止めがかからない(その2)
これも12月24日に厚生労働省の発表したものですが、日本の子どもの出生数が86万4千人と過去最低の出生数になったということです。人口の自然減はこれで13年連続して続いています。またまた想定外の加速ぶりだという表現を使っています。今後とも50年は少子化は続くということです。今までの長年の少子化で親世代にあたる人口も減少しているので、回復にはなかなか困難だというのです。
しかしこの狭い日本で多くの人間を一人ずつ大切にする政治などできるのかという根本的な疑問がいつも沸く。ついつい安易に使い捨ての発想を持つではないかと思うのである。もともっと人口が少ないほうが一人ひとりの能力が発揮されるのではないかと思ってしまう。しかし遣い捨ての政策のままで人口がどんどん減ってしまえば、それこそ国の未来はやせ細るのみだろう。
少子化は、「今」が将来に希望を持てる社会かどうかを映し出しています。現実には、非正規労働が常態化し、将来ともに雇用が不安定で、このまま長寿になるになるとしても、年金ではとても暮らしていけない老後生活、家族を増やすことなど考えられないというのが実際です。子育てと長時間の仕事の厳しさ。満員電車、狭い家、駅まで遠い距離、教育費の高騰、それらを考えると子どもをつくらないことがいちばんの選択試になってしまいます。さらに結婚することにも躊躇してしまいます。そして今、未婚率が男女ともに大幅に増えています。
働く女性たちは、明らかに出産ストライキを続けてきました。もう始まって40・50年になります。よほど夫がしっかり子育てしたとしてもフルタイムで働くには「子どもは一人」です。それも子育てのあらゆる条件(保育所・親の助け・資金的ゆとりなど)が整ってやっと踏み切れるのです。何よりも、何よりも働く時間に加えて通勤時間という拘束時間が長い。経済的基盤が脆弱、雇用が不安,保育所が足りない。助けてくれる人がない、などの不安が出産を敬遠してしまいます。
いくら女性活躍推進だとか、働き方改革などと叫べども、それは経済を活性化させるためのお題目にしか過ぎないというのは、もう明確にわかってしまっているのです。もっと、もっと思い切って、次のようなことを辞めることです。一律の学卒採用、女性管理職は子育てにちょうどいい時期の新入10前後に男性と同じカテゴリーで実施すること、故なき女性の賃金格差、一度パートになると戻れない制度などです。何度でもやり直しのきく、職業をかえてもマイナスにはならない準備制度を複線型職業教育として確立すべきです。ほんとにこれも待ったなしです。少子化は、「今」が将来に希望を持てる社会かどうかで決まるのです。
日本のジェンダーギャップ指数(男女格差)世界第121位、過去最低(その3)
12月17日に発表された2019年の「男女平等ランキング」(世界経済オーラム)は、日本は、153か国中121位で過去最低をまた更新してしまいました。ジェンダー・ギャップ指数は、経済・教育・健康・政治の4分野14項目のデータを元にして、各国の男女の格差を分析した指数で、各分野での国の発展レベルを評価したものではなく、純粋に男女の差だけに着目して評価をしていることが、この指数の特徴です。日本は、調査対象となった世界153カ国のうち、121位だったのです。4分野の点数から算出される総合点は、4分野の平均になっています。スコアは1を男女平等、0を完全不平等とした場合の数値です。
過去最低の順位だった2017年の114位(同年の調査対象は144カ国)よりさらに下位となり、主要7カ国(G7)でも最低で、今までは韓国よりは上でしたが今年は韓国よりも下になりました。
前年と何が変わった?日本が例年、低い順位にとどまっている主な理由は、経済と政治の分野のスコアが著しく低く、いずれも100位以下となっているからです。今年もその傾向は改善されることはなく、経済は115位(2018年は117位)、政治は144位(同125位)です。
環境問題も少子化問題も厳しい課題を抱える日本ですが、それは、ジャンダーギャップ指数が世界の最低レベルであるということとがっちりと重なっているのです。
女性の医者がなかなか排出されない背景に医学部の入学試験から締め出されているということがほぼ慣習化されていたことが明るみに出ました。就職活動でのセクハラや差別的昇進昇格状況はまだまだ改善されていません。
実名を出しての勇気ある性的裁判で、かえって被害者を揶揄するマスコミがあったりもしました。一方、#MeToo、#KuToo などの運動の盛り上がりは、海外からの影響もあり、当事者の女性だけでなく、ジェンダーを超えた共感の声も集めています。声を上げれば遠くまで届く環境が少しづつ整いつつあるのかももしれません。
法整備も進んでいます。「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」の施行によって、19年3月の統一地方選挙では、わずかながら女性候補者が増え、法整備も進んでいるとはいえますが、世界ではそのスピードがもっともっと速いのです。
持続可能な開発目標、気候変動に対する対策も、少子化対策も、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントが実現されない限り、達成できません。
ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントの実現には、言い逃れの余地などないジェンダー面での後進性を直視する以外に、改善の道はありません。
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