タリンの花屋さんは染色しているの?もう一度エストニアから。
2019/12/11
IT王国とは、もれない情報網を確立すること
旅の最後は、再びエストニア・タリンに戻りました。ここから船でバルト海を渡り、ヘルシンキで帰りの飛行機に乗る手はずになっているのです。
エストニアはIT産業が盛んで、世界的屈指のIT王国だといわれています。選挙の投票をインターネットで実施した最初の国であるとか、「Skype」はタリンがスタート地だったとか、いわれています。また結婚や離婚などの区役所の受理はすべてインターネットでできるとか、税金もワンクリックで納入するとかです。それらを各人がやり遂げているのですから、税理士や司法書士などは不要の職業になっているそうです。
高齢者にはインターネットは無理とか高齢者自身が思い込んでいる日本とはかなり違うなと思いました。
それに加えてもう一つ大切なことは、エストニアでは、これらのITサービスが可能になる土台が整った国だということです。結婚届けにしろ、それが誤って記載されたり結婚していないことになっていたり、二度も三度も届けることが可能だったりという不安定で信頼できない状況では絶対IT化は進まないのです。
個人情報管理の完全確立ガ必要なのです。それが出来ているのがIT王国といわれる所以です。
日本ではまだまだ、安心してITを使える整備が出来ていません。年金が消えたり、二重払いがあったりしている現状ではITを安心して使える基盤はありません。企業や政府自治体の個人情報は駄々漏れで、安心感がありません。逆に、政府機関や自治体では保身を決め込む人が「個人情報」を逆手にとって事実を隠し、必要な報告をしない理由にしています。「個人情報だから公表できない」「書類は保存されていない」「手書き書類は消去された。もう実在しない」と言い切って幕引きをしようとするばかり。そしてそれ以上は国会討論も進展しない!
こんな状態ではれでは安心して年金や保険料を支払う気にはなれないのです。この状況でスマホの普及が拡大したといって喜んでいるだけでは、安全で信頼できる個人情報管理の確立の土台はまったくできていないのだと思います。エストニアはそこがかなり進んでいるからIT王国だといわれるのです。
観光なの、視察なの『バルト三国の旅』
旅から帰って、ネットでバルト三国の旅の感想分や情報を見るようになりました。そうすると結構、「視察旅行記」が多くあることに気づきました。
商工会議所や貿易関係、自治体、大学なども、観光とちょっとの視察がよく行われているのだなと実感します。しかし一方でエストニアでは日本からの「観光気分の視察団」に嫌気が差しているという情報もあります。これに似た警告は、私自身がカナダ(バンクーバー)の職業教育施設を訪れたときに、(1997年9月と1998年9月)関係者の方から直接言われたことがありました。「興味を持っているのかどうかどうかさっぱり分からないし、質問はピントを外れているし、質問をまずしない。英語で討論やディスカッションが出来ないので、通訳を通して二重の時間がかかる」「来る人、来る人に同じことを聞く。帰ってから日本から来た人同士はまったく話し合いをしていないみたいだ」「帰ってからコンタクトを取ってくる人は全く無い」「特に男性ばかりの集団は何のために来ているのか分からない」などといわれました。「あなた方は違うのでうれしいのですが」という言葉添えはありましたが、この指摘は大きなショックでした。私は「何が何でも英語で質問したり、討論したり出来なくては、視察などする資格はないんだ」と落ち込んで、英語コンプレックスが20年以上続いている原因でもあります。近年発展、著しいインドでもその傾向はあるようです。
「視察」という名の観光が繰り返され、ビジネスでの成果も生まれず、結果報告もされなかったなら、日本に対する不信感が高まっていくのは自明の理でしょうね。
あまりにも色鮮やかな真っ青は自然界には存在しないのに
このようなITスキルと直接関係があるのかどうか分からないのですが、旅の最後の日、タリンで少しの自由時間があったので、私は城壁の展望台には登らずにブラブラと旧市街地南東にあるヴィル門を出た広い通りを歩きました。
道沿いにお花屋さんが数軒並んでいました。どこの国へ行っても花屋さんは覗き込む方ですが、ここの花屋さんの花の色の鮮やかに目を見張りました。特にブルーの花の色が異様に鮮やかだと驚きました。自然界にもブルーの花はありますがなかなか真っ青な花にはならない花も多くあります。バラ、カーネーション、菊、ユリなどに青い品種がないのです。しかしここではどの花もどの花もきちんと目一杯花弁を広げて咲いていて、色が鮮やかでした。鮮やか過ぎるのではないのと思いました。店頭の花は染色の花なのでしょうか。
英語で「Blue Rose」といえば「不可能(存在しないもの)」の象徴でした。どんなにばらの交配による品種改良でも青いバラを実現することはできなかったからです。しかし、最先端のバイオテクノロジーと開発者たちのたゆまぬ努力により、「不可能」は可能になったのです。それが遺伝子組み換えでつくった「サントリーの青いばら」でした。2004年6月30日に発表されました。
ところが今では、もっと簡単に、もっと真っ青に「真っ青なばら」が店頭を飾られています。染めの技術で、バラだけにとどまらず、菊もユリもカーネーションもアルストロメリアも、蛍光グリーンやイエロー、ピンクなどあらゆる色の染料があるので白い花なら(白い花に脱色して)何でも染めて作れます。蛍光グリーンやイエロー、ピンクなどあらゆる色の染料があるので、白い花を染めるだけで、どんな色の花も作れるのです。花屋業界ではもう広まっているのです。
タリンの花屋さんの鮮やかな花々は染色の花だったのだろうか。花屋さんに質問もせずに帰ってきてしまいました。今も、違和感を持ちながらタリンの花屋さんで撮った写真をながめています。エストニアは自然環境などの対策を懸命に行っている国でもあります。
最近も世界初で、環境汚染対策、交通事故の減少、交通渋滞の緩和等を目的とした公共交通無料化の試みが、タリンで行われています。地球温暖化や大気汚染など車の利用が原因となる社会問題は多く、公共交通を無料にすることで、人々の移動の足を車からバスや電車にシフトさせることを目指しているのです。国民投票の結果に基づいて、タリン全市民に対し公共交通の無料化が行われたのが5年前。そして2018年の7月、世界で初めて、エストニアは公共交通の無料化をその国土全域に拡大しました。
そんな進んだ国なのに・・・・・ でもお花は自然のままの色がいいと未だにこだわっている私は、時代についていけなくなっているのかしら?
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