女性の車運転がやっと実現 。超保守王国サウジアラビアで2018年6月から
「ウイメン・トウ-・ドライブ」の活動
随分、以前のことですが、サウジアラビア駐留のアメリカ軍の女性兵士が砂漠をジープで走る姿を見て、黒いベールの女性たちがものすごく驚いたという新聞記事を読んだことがあります。それからもうどのくらい経つでしょうか。ようやく2018年6月24日から女性の車の運転が認められるようになりました。世界で最後まで女性の運転を認めなかった超保守王国のサウジアラビアです。働く女性の通勤にも、鉄道網が発達していないこの国では、男性に運転を依存するかタクシーに乗るしかないのです。しかし男性に運転を依存するのは高額な費用がかかるし、レイプの危険も伴います。女性の車運転(免許証の発行)を求める闘いは、長く続きました。「ウイメン・トウ-・ドライブ」(女性の運転解禁を訴える団体)では、国際免許を取った女性たちが自分の運転動画をインターネットに流して抵抗したり、それで投獄されたりしてきました。
しかしサウジアラビアの女性差別は運転だけではありません。一歩家を出るには、黒ずくめで、衣服の上からアバヤという全身を覆うローブのようなものを着用し、首から下の肌の露出をなくします。首から上はヒジャブと呼ばれるスカーフで髪を覆い、顔はニカブまたはブルカという黒い布で目以外を隠すのです。それを外国人にも要求します。そのうえで、しかも男性に付き添われてでしか家の外へ出られないのです。女性の教育の歴史も浅く(1960年)、女性の初・中等教育の就学率は低く、女性に体育の授業がないのです。「女性に体育やスポーツをさせない」のも「女性に車の運転をさせない」のと同じように激しく身体を動かすと子宮に悪影響があり子どもが出来なくなるなどという非論理的な宗教感覚が背景にあります。
最近のことでは、ロンドン五輪(2012年7月)で女性の出場を認めない唯一の国だったサウジアラビアがようやく2人の女性をオリンピックに出場させました。国際オリンピック委員会(IOC)は、数ヶ月の交渉で譲歩を得たということです。複数の人権擁護団体が、女性選手の派遣を拒んでいるのなら、男性選手の参加も禁じるようキャンペーンを展開したことが譲歩の背景にあるといわれています。陸上女子800メートル予選で、サウジアラビアのサラ・アタルが出場しました。アタル選手は頭に白い布をかぶり、上半身は緑の長そで、下半身は黒のレギンスという格好で、予選同組首位の選手から43秒以上遅れでゴールしましたが、観客から暖かい拍手が送られていました。
https://jp.reuters.com/article/tk0869642-olympic-saudi-femeal-idJPTYE87801220120809
私も夢中でテレビの画像を追い、写真に納めました。かなりゆっくり走っているように見えました。
https://mainichi.jp/articles/20180624/k00/00e/030/191000c
女性と政治―サウジアラビアと日本
もちろん女性の参政権も最も遅れている国です。2015年にやっと実現しました。世界にはまだ女性の参政権がない国があって、ブルネイ(イギリスの自治領になった1959年に認められましたが1962年以降男女とも認められずスルタンの任命制による立法議会)、レバノン(男性には投票の義務、女性は任意)とバチカン市国(1939年独立国家、カソリックの総本山)です。いずれにしても宗教色が強い国です。
「世界経済フォーラム」(ダボス会議)は、男女格差の解消が世界経済の発展につながるとして、格差解消に役立てる資料として、国別・地域別に、経済・政治・教育・健康維持の4分野で、男性と女性の格差を指数化して2006年から毎年公表しています。2017年の政治分野をサウジアラビアと日本で比較すると、なんと日本が144か国中123位、サウジアラビアは124位でほぼ同じ水準です。
日本の4分野の総合の順位は114位という侘しい水準です。日本の男女平等が進んでいないというこの事実も深刻なのですが、さらに悲劇的だといえるのは、日本は毎年順位が後退していることなのです。世界から取り残されつつあるのが「日本の男女平等」です。
https://sustainablejapan.jp/2017/11/02/gender-gap-index-2017/28847
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