「ワークライフバランス」についての日経新聞の取材から

      2014/10/23

日経新聞記事(pdfファイル)

記事はPDFにしていますが、 あんなに多くしゃべったのになーと思い、付け加えることにします。

少子化対策としても関心の集まるワークライフバランス(仕事と家庭の調和)は、その基本的な理念を示す「憲章」と、国や企業などが取り組むべき施策をまとめた「行動指針」の骨格が固まってきました。それはいいことなのですが、男性社員はこれが出たからといって、「さあ、今日から毎日早く帰って家族の夕食をつくろう(手伝うではなく)、会社も勧めているし、それこそが女性を助け、少子化対策なのだ!」なんて、行動の変化が起こるのでしょうか。

帰りも満員の通勤電車で、すばやく焼きさばとほうれん草とポタージュスープにしようと献立を考え、品数の少なくなった市場で大慌てに買い物をし、大荷物で別々の保育所へ2人の子どもを迎えに走る。しかし子どもとの帰り道ほどうれしいものはない。ともに生きている実感が湧き上がる。玄関の鍵をあけるや必ず30分以内に夕食を済ます。風呂・洗濯、明日の保育所の準備、仕事の準備。気がついたら、自分は何も食べていない、コートも着たまま子どもを寝かしつけた。働きながら子育てをしている女性たちは、それでも男性より早く帰る二流の社員なのだ。昇進・昇給などは蚊帳の外。それにもかかわらず子どもはかわいくてたまらない。

こんな毎日のもと、「多様な働き方を選択すべき」といわれても、「どうして女性だけがずり落ちることがワークライフバランスなのだ」と思ってしまいます。

男性も含めて労働時間の短縮が急務、最重要課題だと私は取材で言いました。短縮して生産性をあげる戦略を立てるのが企業トップの仕事です。それから、やむなく男性も女性も子育て期だけパートタイムになるにしても、仕事と待遇は「均等待遇(均衡ではなく)でなければならない」とも。今のパートは十分に人権問題です。

そしてもうひとつは、働き方の多様化という選択肢が必要なら、転職や再出発ができるように、職業能力をトレーニングできるコミュニティ・カレッジのような仕事のセーフティネットをどうしてつくれないのか、とも。この最後の転職・再就職のための職業トレーニング学校が私のこれからのテーマです。

 - メディア掲載, 女性と仕事

  関連記事

ワーキングプアのための新しい社会デザイン-コミュニティカレッジの役割-

上記は09年1月から、大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル6階)の卒業 …

選挙! 「非正規の女性に目を向けよう。女性を議員に」

もうすぐ投票日。少しあきらめ気味が目立つみたい。でもあきらめずに、もう少しがんば …

「女性と仕事、なんでもそうだん」始めます

「女性と仕事、なんでもそうだん」始めます。

2012年度 ハッピー・キャリア企業表彰 

女性と仕事研究所メンター 森口ひろみ 10月に日本で開催された世界銀行の年次総会 …

no image
東京都「男女雇用平等推進セミナー」が 好評に終わりました

6月20日(火)夕刻 東京しごとセンターにて 「しびれるほど仕事を楽しむ女たち」 …

キャリアをデザインする─「フレンテみえ」Web限定 男女共同参画ゼミ<第3回>

■キャリアをデザインする 女性とキャリアをつなぐもの| 三重県男女共同参画センタ …

no image
シングルマザーに福祉ではなく労働権を「シングルマザー専用」の職業紹介事業の記事

シングルマザーを管理職に!の記事から 朝日新聞によると職業紹介事業の柱に、社会に …

キャリアをデザインする─「フレンテみえ」Web限定 男女共同参画ゼミ<第1回>

三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」のWeb限定 男女共同参画ゼミで「キャ …

女性管理職1割未満が8割、春遠からじなのか

毎日新聞1月10日付に東京商工リサーチの調査結果が出ていた。 「管理職のうち女性 …

アメリカ報告その4 AFTERコロナで経済活動は、もう少し減速修正するだろう

アメリカの新型コロナウイルス感染者数(195万1722人)・死者数(11万771 …