「新しい公共」に春風は吹くか

      2014/10/23

春風は、行方を定めず気ままですね。
きのうの夕刻からまたびっくりするほど寒くなりました。
最近では、植木鉢を出したり入れたりしています。
それでもいきなり低温にさらされるともう生きては戻れない蘭もあります。

3月12日、日本NPO学会のシンポジウム『東アジアにおける社会的企業の台頭と挑戦』立命館大学)に出席しました。NPOや社会的起業という概念は、アメリカや欧州が先輩ですが、近年は東アジアでも活動も研究も広がっているということです。

背景にアメリカや欧州がありながら、昨年来の金融危機以来の経済不況により、政府の期待値も上がっているのです。日本国内でも政権交代に伴い、社会的起業・NPOに対する認識も変化しています。昨年末、民主党政権は新・経済成長戦略を出し、そこでの6つの柱のうちの「雇用・人材戦略」においては、公共サービスの提供や雇用創出の担い手として、NPOや社会的起業への期待と支援が表明されています。「新しい公共」という概念で政策が進められようとしており、NPOへの新しい税制改正案も衆議院を通過しました。しかし、私などはいつまで経ってもコミュニティカレッジという政策には到達しないナーと待ちくたびれている感があります。

実際のところ、日本ではNPOへの評価も社会的起業に対する実証的研究も未だ未だこれからというところのようです。今回のシンポジウムではアメリカのジャネル・カーリン(Janele A Kerlin)さんが、基調講演で、アメリカ、日本、西欧、中欧、アルゼンチン、ジンバブエ・ザンビア、東南アジアについて、「発展基盤がどこにあるか」、「国家や市民社会の能力の程度」「市場の機能」などについて分析されました。

日本の場合は、発展の基盤は政府が中心で、市民社会の能力は弱く、NPOや社会起業家は市場の機能に委ねられている(つまり必死に事業型を追求している)というのが概略でした。台湾や韓国からも報告がありましたが、韓国のNPOは、認証数は300程度と少ないようですが、雇用創出をしているという意味で、国が人件費を出すのだそうです。

2004年の韓国訪問では、女性たちの多くがM字型の2つ目の山の就業時期をNGO(どういうわけかNPOでなく、NGOといっていました)として、活躍していました。それとは違って社会的企業育成法が2007年に施行され、そこでは土地や建物の賃貸や税金や雇用保険料等の補助などもおこなわれているそうです。

日本の「新しい公共」政策ももっと早く進むといいなと願っています。事業型をめざすといっても株式会社と自治体の委託事業を競争するのは、とてもきついのです。かといって「ボランティアでも志があればいい」ともいえないわけです。

帰りに寄った北野天満宮では、枝の下から開花する梅の花がもう先っぽまで満開でした。
未だ就職が決まっていない女子学生や合格祈願者が列をなし、じっと手を合わせる姿に、天満宮でも閉館時間を過ぎても、黙って門を開けているのでした。

北野天宮での梅林

北野天宮での梅林

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 - NPO

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