アジアにまたひとり、女性の政治リーダー登場
台湾総統に蔡英文氏が女性初
2016年1月16日、台湾総統選挙の開票が行われ、独立志向の野党・民進党の蔡英文氏が圧勝し、またひとり世界に女性リーダーが誕生した。
「民进党曝“封官”传闻 蔡英文祭“三不”消毒」 搜狐新闻
http://news.sohu.com/20151022/n423867145.shtml
来るアメリカ大統領選ではヒラリー・クリントン氏が最有力候補と目されているし、ドイツのメルケル首相、韓国の朴槿恵大統領、ブラジルのルセフ大統領、最近では2013年12月16日、南米チリの大統領選で、ミシェル・バチェレ氏が「教育の無償化」「格差社会の解消」を公約に掲げ、4年ぶりに再選を果たした。これで南米は、ブラジル、アルゼンチン、チリの3ヵ国が女性大統領となった。25年ぶりに2015年11月8日行われたミャンマー総選挙では、アウンサンスーチー議長が率いるNLD(国民民主連盟)が、過半数を超え政権交代が確実となった。
その他の国ではノルウェー、デンマーク、スロベニア、アイスランド、バングラディッシュ、タイ、セネガル、コスタリカ、ジャマイカなど、世界各国の政治の舞台で、女性の政治リーダーが活躍している。市民運動、政治の世界は長らく男性が中心となって行われてきたが、近年女性の活躍が目覚ましい。世界を見渡せば、女性政治家の活躍は当たり前になっているのである。
翻って日本の場合
翻って日本の場合は、安倍政権が盛んに「女性の社会進出」を唱えるのとは裏腹に、女性首相誕生の気配などほとんどないのが現状である。2020年までに指導的立場にいる女性を30%にすることを掲げている。政治の場こそ、他の規範になるようにするべきだとも思うが、実態は世界から大きく遅れをとっているといえる。
さらに世界経済フォーラムの「2015年グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で135ヶ国中101位である。世界各国と比べると女性政治家、女性事業家、女性ビジネスマンの活躍の機会、声をあげる場がなんと少ないことか、女性の社会進出で日本はいかに後れをとっているかは、明白である。しかしここでは、その話は、ひとまずおいて置くとして、政治運動と選挙をどうつなげるか、つまり選挙の「多数派作り」を考えたいと思う。
ひまわり運動から選挙までの準備
台湾の場合、2014年のひまわり運動(学生が12月国会を占拠し、国会を国民のものに取り戻せ運動をした。それが香港の2015年の雨傘運動へ)を引きついた選挙だったといわれている。何を引き継いだのだろうか。最もいわれるのは「多数派づくり」だという。日本の場合、2015年夏、若者や女性を中心に盛り上がった戦争法反対運動は、次の選挙に実を結ぶのか。実を結ぶような「多数派作り」を台湾から学ぶべきだと思う。
多数派づくりとは、60年・70年代の学生運動のように、闘いの先陣はわれわれが・・といったエリート意識ではなく、ミッション・目標をもって、しかし横並びに手を取り合ってともに行動するのである。またともすると暴力主義になりかねない「戦いのための闘い」「ひるまず突き進め」といった戦闘主義ではなく、無抵抗・非暴力に徹する戦術を当たり前とすることである。「暴力は暴力に負ける。暴力に勝てるのは非暴力のみである」、と思う。
そのうえで、もうひとつ重要なのは、マスコミに影響されない真実の伝え方を習得することだと思う。マスコミは決して本当のことを伝えない。政治的バイアスのかかった、あるいは興味本位で一部を歪曲して伝えることしかしない。マスコミ(新聞・テレビなど)が伝えない事実は、政治運動に参加する一人ひとりの感性によって、自らによってのみ発信できる。マスコミを信じたら敗北であると思う。
ソーシャルネットワーク(facebookやTwitter)に通じていることも重要だし、自分の感性やフィーリングを研ぎ澄ましておくことはもっと重要かもしれない。
ソーシャルネットワークや映像、音や画像を操る能力に長けているのはやはり若者だと思う。日本の選挙に期待を持って、若者にも期待を持って、志をほんものにするネットワーキング活動の実りの季節が来ることを願う。
初音ミク風、ここまでやる!!
民進党の蔡英文主席(右)。フェイスブックページには萌えキャラ化した自分の動画をアップ(左)
「宣伝チームの努力に感謝します。台湾の世界的レベルの動画プロが、硬い政策内容を分かりやすい動画に変え、人々が私たちの政策内容をより理解できるようにしてくれました」と絶賛。
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