新たなタイプの女性の政治リーダー蔡英文
新しいタイプとは
台湾初の女性総統に選ばれた蔡英文(さい えいぶん、ツァイ・インウェン)さんは、1956年生まれの59歳。確かにエリートである。台湾屏東県出身で旧家の出。台湾のトップ名門大学、国立台湾大学法学部卒業後、アメリカのコーネル大学ロースクールで法学修士、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士を取得。帰国後、国立政治大学及び東呉大学の教授に就任。専門は国際経済法である。2004年に民進党から立法委員選挙に出馬して当選、2006年1月から2007年5月まで行政院副院長(副首相)を務めた。2008年第12代主席に就任した。民進党初の女性党首である。確かに彼女は台湾きってのエリートである。
しかし、アジアで多かったのは大統領の娘とか(たとえば韓国の朴槿恵:パク・クネ1952年生の父は、朴正煕:パク・チョンヒ第5代~第9代大統領)、暗殺された夫の妻とか(たとえばフィリピン第11代大統領コラソン・アキノCorazon Aquinoは、上院議長の夫ベニグノ・アキノ・ジュニア暗殺後、マルコス統領に対抗して大統領となった)、タイ史上初の女性の首相でインラック・チナワットはタクシン元首相の妹である、といった親族の絡みで女性政治リーダーになったケースが多い。
しかし台湾の蔡英文の場合は、親族がらみの七光りでもなく、容貌をうりにするのでもなく、実直に実力を発揮している。それを若者が支援している。そんなところが新しいタイプの女性リーダーだと思う。親族の身代わりや七光りではなく、自分の足で立つ女性政治家が普遍的になってこそ、女性政治家支援の活動が広がり、立候補者のクオータ制や閣僚のクオータ制が活きてくるのだと思う。
日経電子版の記事によくわかる記事があったのであげておく。女性政治リーダーの存在と女性議員の比率との関係をわかりやすく図解している。
「女性の政治リーダー、増やすには」 日本経済新聞 電子版 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86311890Q5A430C1W07001/
今回の企画は「ヒラリー・クリントンはアメリカ大統領になるか」というテーマで話が進んでいく。
女性の政治リーダーを増やすには
社会のルールを決める政治家に女性が増えれば女性の政治リーダーも生まれやすくなる。その政治的土壌を作るためには、クオータ制(実質的男女平等を確立するため議員や閣僚などの一定数を女性に割り当てる制度)を早く実施すべきなのである。
女性の政治リーダーを出しているノルウェーやドイツ、デンマークなどでは、女性議員の比率が高い。韓国も実施している。それにしても日本は女性議員が極めて少ない。日本では女性の地方議員が3,924人いるが、全体数のわずか11.7%に過ぎない。人口の半数は女性であるというのに、後は全部男性である。
国会議員に関しては、世界各国の議会でつくる「列国議会同盟(IPU)」という組織があるが、そのIPUが189ヵ国の下院議会(衆議院)における女性議員の割合をみると、日本は480人中39人(8.1%)で127位と先進国最低である。そこでまず実施すべきはクオータ制ではないかと思う。
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