紫陽花の絵をもらってくださる方への手紙

      2016/05/07

4362c51dc74cfafa71cc43673edbe1d3_lこのGWに紫陽花の絵を仕上げました。私は紫陽花が好きでよく描きます。もう荷造りをしようとしているのですが、小さな手紙を添えることにしました。

紫陽花の語源は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が有力だといわれています。紫陽花は日本で原生している植物で、古くは8世紀の万葉集にも詠まれています。咲く時期と花の色が雨を思わせることから、雨の比喩表現になったり、開花してから色がどんどん変化するので、七変化とか八仙花と呼ばれたりします。18世紀ごろになると、日本原生のものや東アジア(中国)のものがヨーロッパに持ち込まれ、世界的に有名な花となりました。

紫陽花の花言葉で私が好きなのを3つ紹介したいと思います。

1つは、フランスなどでよくいわれる『元気な女性』です。6~7月のフランスはカラリと天候がよく、過ごしやすい季節です。そこへピンクや赤の豊かな房の花があふれると、それは「元気な女性」のイメージになるのです。フランスでは紫陽花のことを「日本のバラ」ともいうそうです。

2つ目は『辛抱強い愛』です。これは鎖国時代、長崎にやってきた医師シーボルトが国外追放になり、祖国ドイツへ持ち帰った紫陽花を「オタクサ」と命名(楠本 瀧―オタキサンー「オタクサ」)した、その悲恋に由来するものです。シーボルトと瀧の間に生まれた楠本イネは日本ではじめての西洋医術の女医(産科)になりました。その後シーボルトは追放が解かれ、30年ぶりに長崎で、1858年(安政5)妻瀧、娘イネ、孫娘高子と感激の再会をします。まさに『辛抱強い愛』です。

ここでちょっと脱線。この時代に女性のための産科医を目指したイネも高子も、指導を受けている医師にレイプされて、親子二代にわたって悲劇的な子どもを出産しています。もうひとり、日本人初の公許女医第1号になった荻野吟子(産科)の場合も、夫の性病をうつされ離縁されます。その梅毒の治療に男性医師による屈辱的な体験をし、女医となって同じ羞恥に苦しむ女性たちを救いたいと決意し、並々ならぬ努力により女医になったのです。荻野吟子はその後、女性参政権運動を初め多くの女性運動に関わります。
現在、長崎市のシーボルト記念館では、企画展『シーボルトとオタクサ』を実施中です。(4/25~6/15)
http://www.city.nagasaki.lg.jp/kanko/820000/828000/p027288.html
http://www.city.nagasaki.lg.jp/kanko/820000/828000/p009176.html

3つ目の花言葉は、『家族愛』『団結』というものです。これは花の形状から出てきたものでしょうね。

私が紫陽花の絵をよく描くのは、娘が6月生まれということ、その娘が今は遠く離れて暮らしているので、どうしているかなと思って描いてしまいます。幸せに暮らしているのだから気にかけることはないし、近くに住んでいても、私は私、娘は娘の生活を貫くはずですから、気にかけることなどないのですが……。

紫陽花は向日葵ほど積極性や陽気な感じでもなくて、長期間咲いています。近頃では梅雨どきの彩りというよりも、5月の母の日のプレゼントになったり、その後もずっと、1年中、多彩な色を楽しめます。
紫陽花は水彩画にも油絵にも格好の画材です。私はこれからも紫陽花と格闘して描き続けようと思っています。また別の構図の紫陽花も観ていただきたいと思います。

 - ブログ, 油絵

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
みなさまへ 2006年の年末に寄せて

女性と仕事研究所、自慢のセミナー「キャリアアドバイザー養成講座」は、次年度ぐらい …

肉筆浮世絵展 その2 江戸の鳥瞰図

極彩色の美人浮世絵の中に、「江戸鳥瞰図」(鍬形蕙斎くわがたけいさい文化年間~文政 …

第17回洋画A展(2017/3/7~11)に出展します

第17回洋画A展に2点、出展します。 第17回 洋画A展 日程 2017年3月7 …

ラトビア、首都リーガは美しい街

ラトビアはバルト三国でも最も小さい国。人口は200万人弱、面積は日本の北海道の約 …

フェミニズムとわたしと油絵(2013~2023)(その12)

1 書籍完成! かねてより注力していました『フェミニズムとわたしと油絵―「描かれ …

新年おめでとうございます

English(英文はこちら) 新年おめでとうございます。2012年、今年こそ変 …

むらさき大根―ようやく色褪めぬ

いまどきの膝小僧手術のつづきです 膝小僧手術の方が案外、時間がかかるのだそうです …

国際女性デー(”International Women’s Day”)と反戦

毎年、3月8日は「国際女性デー」です。例年多くの国々で記念行事が行われます。女性 …

「女流画家協会展」入選しました

油絵を再開してから3年 2014年4月から油絵を再開しました。30年間の空白があ …

2024年夏、世界は選挙の季節―東京都知事選 「石丸伸二氏165万票」の持つ意味、私もひとこと

「石丸ミラクル」「石丸旋風」といわれるもの、それは選挙を取り戻したこと http …