パートはどんな理由があって差別状態のままにされているのか ─企業側の説明義務の法制化(日経2017年3月8日記事より)
パート(非正規)はどんな正当な理由があって、給与や福利厚生で正社員との差別が当たり前になっているのか。このたび政府は企業にパートにもその理由を説明する義務を持たせることにした(裁判での挙証責任にも影響する)。
政府は「働き方改革」の柱の1つとして「同一労働同一賃金」を持ち出し、詳しいルールを話し合うために有識者検討会に論点整理案を示した。そして厚生労働省が、企業に待遇格差の説明義務を強化するよう求めた。
そもそも「同一労働同一賃金の原則」(Equal pay for equal work)とは性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、同じ仕事には同じ賃金を支払う賃金政策のことで、同一価値労働同一賃金原則(ILO100号条約1951年、日本の批准は1967年)は、職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば、同一の賃金水準を適用する賃金政策のことである。国際労働機関(ILO)ではILO憲章の前文に挙げており(1946年)、基本的人権の一つとされている。また女性差別撤廃条約(1979年)では、「同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利」の確保に必要な措置を講じることを締約国に求めている。EUでは1997年にパートタイム労働指令を定め、パートの差別待遇を禁じている。
随分時代遅れながら、今「同一労働同一賃金原則」を掲げている背景は、政府側は同一労働同一賃金で、非正規労働者の待遇改善で個人消費の底上げを図りたいというのが狙いであり、それに反して企業側は、パートの待遇改善は、人件費がかさむといって難色を示している。そして働く女性の非正規化がますます進み、過半数を超えている(2015年56.3%)。
いつまでこのよう綱引きを繰り返しているのか!
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