職場のハラスメントを禁じるILO条約、日本は?

      2019/08/21

ILOの年次総会で6月20日、初めて職場でのハラスメントを禁じる条約案が採択された。ILO(https://www.ilo.org/)は、1919年、第1次世界大戦後世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連最初の専門機関として設立された。今年は設立100周年、その記念碑としてこのパワハラ禁止条約の成立の期待しているとろなのである。本部はスイスのジュネーヴ。加盟国は187ヶ国(2016年2月現在)。 日本は常任理事国であるが、労働者保護に関わる重要な条約(1号条約(一日8時間・週48時間制)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)など)が未批准である。

加盟国の代表は政府代表2名、労働者代表1名、使用者代表1名の計4名からなる三者構成で、政労使の各代表はそれぞれ独立して発言や投票を行う。

この職場でのハラスメントを禁じる条約案に対して日本政府と連合は、「賛意」を示しているが、経団連は棄権した(裁判など厄介な問題が起こる〕。まだまだ日本が批准するには前途多難な道のりがある。

(総会参加者は日本政府が賛意を示したので驚いた表情を示したという報道がある:朝日6月22日〕しかしこれも世界的規模でみると、声をあげはじめた「# Me too」など女性たちの動きを世界的に支援している現象である。

ILOはハラスメントを、身体的、精神的、性的、経済的損害を引き起こす可能性がある一定範囲の許容できない行為や慣行をハラスメントと定義しており、法律で禁止するものである。違反すれば制裁が課され、使用者に防止措置を求める法整備や被害者の保護・救済を義務つける。また職場だけではなく出張中や通勤中の行為、SNSによるやりとりも対象になる。

職場のセクハラ行為は当たり前のように蔓延している。連合調査では4割の女性はセクハラに遇っているという。学校の生徒のいじめも4割だという。大人世界が子どもの世界にもそのまま映し出されるのであろうか。筆者ももちろんその土壌の中で職業生活を長年送らざるを得なかった。学部時代も大学院生時代も指導者の進路を伴ういやがらせは、大学教員も体質は同じである。趣味サークルの中でも同じ。「その年で色っぽいといわれるだけでも喜べ」とか、とか。NPOの職場ではそのような場に出会ったことがない。

それにもかかわらず、日本では法律の規定がないことから、ことさらにあいまいになりがちである。セクハラ・パワハラ行為を罰則付きで禁止する規定はなく、防止義務を企業に義務付けるのみである。防止策にとり組まない企業を厚生労働省が指導し、従わなければ企業名公表もありうるというに過ぎない。

職場で働く人を、仲間として大事にする、そんな当たり前の意識が浸透していない。横並びに生きていくのが苦手、上下関係の上に立つことが生きがいというゆがんだ権力の誇示が、ハラスメント(いじめ)という形で表れる。『人を貶めるギャク』しかいえない。共感する喜びを知らない男性中心の歴史が長かったせいなのか。その分女性は声をあげなかったということになる。

ひとり一人のもう少しだけ、勇気を持とう。声を出そう。声を出している人を応援しよう。ハラスメントを禁じるILO条約が日本でも当たり前になるような時代になるように。

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