アメリカ報告その4 AFTERコロナで経済活動は、もう少し減速修正するだろう

   

アメリカの新型コロナウイルス感染者数(195万1722人)・死者数(11万771人)はともに世界で最も多く(6月7日現在)、とても終息とはいえない状態です。しかし経済を動かさなければ、倒産、飢え死という恐怖が待っているということで、人の動き、経済を再開する動きが強くなっています。アメリカの失業者数は4000万人に達しています(5月31日現在・働く人の4人に1人)。さらに加えてアメリカ・ミネソタ州・ミネアポリス近郊での黒人容疑者を白人警察官が膝で抑え込み死亡させた事件を受けて、全米150都市以上で、それもコロナ感染の重症地を中心に激しい抗議活動が起こっています。そして世界に広がっています。今回のコロナ感染死の多くは黒人・ヒスパニック系のマイノリティだ(白人の2倍)という事実もこの抗議行動の大きな背景にあるはずです。コロナで職を失うのも、感染死するのもマイノリティが大半だという差別実態が改めてあらわになる中で、もうコロナ自粛どころではない、大統領自身によって煽られてきた分断への怒りは、黒人にも白人にももう我慢の限界だというところに来ているのかもしれません。

AFTERコロナの時代には、アメリカを模倣することを経済のグロバル化と称していたのを修正し、経済の減速化を図り、新しい経済社会をつくることに向かうことが重要だと思います

1「新しい公共」を再度推進すること

AFTERコロナの時代といっても、まだ尚コロナとともに生きていくのか(WITHコロナ)コロナが完全に消失した世界がやってくるのか、はたまた別種のコロナが襲ってくるのか今のところ不明です。ただ今まで通りの経済活動や働き方が復活するのではなく、大きな変化が訪れると思うのです。変化がなければならないと思います。まず何よりも地球破壊の道を断ち切るために変化が必要です。経済効率優先、競争第一主義ではなく、もう少し「生命」優先で、もう少し穏やかでゆったりとした時間の流れを取り戻せる社会が訪れてもらいたいものです。コロナ休業で、青空が戻った世界都市がいくつもあるとか、中国国内では経済活動の停滞で、国内のCO2排出量が25%も減少したというノルウェイの調査もあるわけで、(//wired.jp/2020/03/26/coronavirus-emissions/)、温暖化(破滅化)を回避するためには、汚染物質の排出抑制や交通・運輸、工業生産活動の制限を、パンデミック収束後もずっと続ける必要があるでしょう。一言でいうなら、企業中心社会ではなく、NPO中心社会の到来ということになるかもしれません(P・Hドラッカーの主張です)。いっとき、「新しい公共」という言葉が毎日のように紙上を躍っていました。多くの人が「公」と「新しい公共」が一緒になって、地球にやさしい、人にやさしいサービスや製品の開発をしようと頑張り始めた矢先に、「美しい国日本」とか「決める内閣」などといって独りよがりの政治がこうまで長く続くことになってしまいました。そして安倍政権が長引くにつれて、「新しい公共」という信念や流れは断ち切られたまま、もう何年も過ぎてしまいました。しかしこれまでの「公」は製造業中心の産業にのっかり、市民へのサービスといえば一律なものをスピード感なく、書類とはんこを積み上げて行ってきました。しかしそれでは全く、個別化・多様化している要望に合わないわけです。マスク配布の1つにしてもできませんでした。AFTERコロナの時代には、限られた予算で、多様化しているニーズにきっちりと応えられる経済活動を推進しなければならないのです。今使っている資金はすべて次の世代につけを回す借金なわけです。これほどずさんな使い方を決してしてはならないのです。資本主義経済社会で市場原理に任せると「儲かる」企業しか生き残れません。そこで「企業」でも「公」でもない第3の「新しい公共」が出番なのです。「新しい公共」は社会的企業も含むといわれていますが、この社会的企業を女性たちが実施しやすいように応援することが、結構、近道なのではないかと思います。

2 女性起業家の支援こそ

女性の起業家を多く育て、応援することです。女性起業家の働く目的は「儲ける」が第1でなく「人の役に立ちたい」「自分を活かしたい」がどの調査でも多く、働きやすい職場環境を整備することを重視します。もっともっと女性たちが、自分の肌感覚で感じた社会の必要事項(欠けているもの、困っていること)を助けることを事業ができようにすることがAFTERコロナ社会には有用だと思っています。

帝国データバンクは2018年5月22日、「女性社長比率調査(2018)」の結果を発表しましたが、2018年4月末時点の女性社長の比率は7.8%、都道府県別では、「青森県」の10.6%がもっとも高く、「岐阜県」の5.2%がもっとも低かったそうです。 一方、アメリカの全企業の23%、実に780万社が女性が経営する企業です。特に、ヘルスケア・教育サービス分野では、61%の企業が女性CEOです。アメリカで女性の起業家を応援するNAWBOを紹介します。私が訪問したのは、カリフォルニアの「サンフランシスコ・ベイエリア支部」です。

3 アメリカの女性起業家支援団体「NAWBO」

(National Association Women’s Business Owners SF Chapter
「 S・F・ベイエリア支部」訪問記全米にあるNAWBO支部

訪問日   2020年1月22日PM4時~6時
訪問場所  PAXON(パクソン) Energy & Infrastructure Services
住所     4695 Chabot Drive Suite Pleasanton, CA 925.699.3108
BART Dublin/ Pleasanton Station. Willow – south to Gibraltor – west to Chabot to south

4 NAWBOとは

NAWBOは女性の会社経営者全国協会と訳します。その「サンフランシスコ・ベイエリア支部」を訪問しました。NABOWは女性会社経営者をサポートしトレーニングプログラムや教育支援を通じて、女性経営者に強力なリーダーシップを支援します。また女性経営者が増えるように協力・教育しています。連邦の契約、銀行クレジット、および他の金融の問題についての情報もしています。

NAWBOは1975年に設立され、現在では全米で約5,000人のメンバーで約60の支部があります。歴史的には、女性の経営者を支援する次の4つの法律がありました。第①は雇用機会均等法とアファーマティブアクション(1974年)、第②は融資機会均等法(1994年)、第③は連邦政府取得合理化法(連邦政府調達の5%は女性起業家に与えることを目標にした法律1994年)、第④は、女性起業家法(Women’s Business Ownership Act 1988年)です。いまや、議員、メディア、連邦政府エージェンシー、ホワイトハウススタッフ、および実業界に大きな影響力を持っています。

NAWBOは、1975年にすべての女性ビジネスオーナー向けの最初の支援団体として設立されましたが、当初は、連邦政府の契約、資本へのアクセス、ビジネスに関連するその他の問題に関する情報を共有するために、DCエリアで非公式に会った女性ビジネスオーナー12人で設立されました。  ほぼ45年後、私たちはその遺産を引き継いだことを誇りに思っています。 NAWBOは、女性のビジネスオーナーが、強力な経済力とビジネス環境の変化の効果的なエージェントにつながる大きな力を発揮しています。  メンバーシップ内でこの多様性を最もよく表すために、私たちは超党派的で活動しています。NAWBOからサポートを受けるためには、立法案に民主党と共和党の両方からのサポートが必要です。つまり、両党のメンバーがスポンサーおよび/または共同スポンサーとなっています。

5 NAWBO in SF  Board President(2019年1月就任)
Nooshin Behroyanさん(ヌーシン・ブーイン)のお話

ポジティブな変化をもたらしたCEOとして表彰されています
Paxon Energy&Infrastructure Servicesの創設者兼CEOであり、創業16年目の社長です。サンフランシスコビジネスジャーナルは、パクソンをベイエリアの2018年のトップ10の建設プログラム会社に指定しました。
彼女は、特に女性エンジニアと退役軍人にプラスの影響を与える変化を促進することにより、Paxonエネルギー会社(電気:10%、石油:20%、ガス:70%の割合)で性別の多様性と労働力の平等を促進する成果をもたらしました。 Paxonは、従業員がトレーニングとスキルを活用して生産的なキャリアに移行できるようにするのです。退役軍人だけで、Paxonの総従業員の20%を占めています。ヌーシンさんの戦略的雇用と職業訓練プログラムは、地理的および有機的成長モデルと相まって、米国およびカナダの石油およびガスパイプラインの安全性向上に大きく関与しています。彼女は急成長中の大手エネルギーコンサルティング会社の1つにPaxonを成長させました。彼らは最新技術を統合して電線を監視し、インフラストラクチャと周辺のコミュニティを守っています。カリフォルニアでの森林火災にもフィールドサポートもした。また若い女性が乳がんにかかったときに化学療法、乳房切除や他の治療で悲嘆にくれる女性家その家族を支援する活動もしている。

ヌーシンさんはB.Aを保持しています。 カリフォルニア大学バークレー校の建築学修士号、および修士号 UC Davisで土木および環境工学の博士号を取得しました。彼女はまた、専門的な訓練を受けたピアノ奏者であり、UCバークレージャズアンサンブルで演奏しています。さらに、彼女は2人の活発な2人の子ども(アルマン-10歳とエバ8歳)のシングルマザーです。
そして彼女は、WBENC(女性の企業経営者全国協議会)やNAWBOの活動に没頭しています。女性の役員を増やすことは必ず収益をもたらすのだという強い信念の元に支援活動をしているという。

インタビューの感想

なんて若い社長なんだろうと思った。それにイラン出身のシングルマザーだと聞いてアメリカとはこんな女性社長が出現する国なのだと感心した。発想がとてもユニーク、である。ノルウェイのクオーターシステムを取り入れて女性の活躍を進めることが北欧のように女性の企業役員を増やすことであり、生産率もノルウェイなみに引き上げることなのだと提案し続けたという。今やアメリカで問題になっているのは管理職比率ではなく、「役員比率」なのである。アメリカでは22%しか役員がいないが北欧では、40%以上であるとも。そして自社の役員比率を上げることで収益も加速度的に上げてきた。2018年は7,5億ドルだったのが2019年度には30億ドルに成長した。しかし、6ヶ月のダイバーシティプログラムを用意しているが、該当する女性がなかなかいないのが苦労しているところだという。彼女の創業目的は、自分はイラン出身の女性だが、年齢や人種・性別の違いを超えて、「ちがい」を効果的に力として発揮できる起業を下井と思ったからだという。ついでにイランの女性たちはベール(ブルカ/チャドル)をかぶっているが、どう思いますかときてみた。「本心はそんなにいいと思っていませんよ」と答えてくれた。

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