ジェンダーフリーって何?

      2014/10/23

撮影:吉岡理夫(元朝日新聞社 記者)

撮影:吉岡理夫(元朝日新聞社 記者)

- 弱い存在たる「男性」も癒され、ホッとできる社会を-

「ジェンダーフリーって何?」『世界』4月号の特集です。岩波書店の雑誌『世界』は、2005年4月号で創刊60周年を迎えたということです。1946年創刊で、私の若い頃は、は、「『世界』を読んでいるのがインテリの証し」とばかり、読んでるフリをしていたものでした。本当に小さい字ばっかり。近年は読者が少なくなり、よほど大きな書店でないと置いていません。時代が変わったことを示すものの一つです。

ところで「ジェンダーフリーって何?」では、5本の主張が並んでいます。「生きやすい、働きやすい社会をつくるということ」「ジェンダーフリーはこわくない」などで、どれも納得、納得です。なかでも「生きやすい、働きやすい社会をつくる」は、男性の教育学者の立場からの主張で、今、起こっている男女共同参画社会づくりへのバックラッシュ(ジェンダーフリーの禁句化、性教育への圧力など)は、進めようとしているグループにある種の「弱点」があったのではないかと、述べています。それは、男女共同参画といいながら、それによってどれだけ男性が得をするかを充分示していないのでないかという点です。男性たちが感じている「強くあれ」プレシャーやリストラ不安等々、男性の心の現実について女性が深く共感することがまず必要で、男性がこの人には、自分の弱さをさらけ出してもいいと決意できることが必須条件だといいます。「強くあれ」で社会化されてきた多くの男性にとっては、恥ずかしくも母の乳房に顔を埋めたいと思う「弱い」自分と向きあえず、その葛藤にも気付かなくなっているのです。男性を自分の欲求に正直に生きることに導くのが、男女共同参画なのです。

ジェンダーフリーは男女の性差をなくしてしまうものだというように、いわばこの言葉に難癖をつけて、これをひっくりかえそうという動きが目立ちます。もし「誤解を与えたのであれば潔くジェンダー・バイアス・フリーとでもすればいいと思うし、もっとすんなり男女の平等といえばいいと思う」(p.87)ともいっています。ジェンダーフリー、男女共同参画は、これは男が楽になる道であり、今は男の分かれ道です。

 - 女性の活躍

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